Ubuntu Touch

Ubuntu Touchとは

Ubuntu Touchは、Ubuntuをベースにしたモバイルオペレーティングシステム（OS）です。当初はCanonicalによって開発されていましたが、現在はUBportsコミュニティによって開発が続けられています。主にスマートフォンやタブレットなどのタッチスクリーンデバイス向けに設計されており、Qtを使用して記述されたユーザーインターフェースが特徴です。当初の目標は、ノートパソコン、デスクトップ、IoTデバイスなど、さまざまな端末で統一されたユーザーエクスペリエンスを提供することでした。

歴史

Ubuntu Touchプロジェクトは2011年に始まりました。2013年1月には電話向けのUbuntuプラットフォームが発表され、同年2月には開発者向けのプレビュー版がリリースされました。最初のバージョンであるUbuntu Touch 1.0は、2013年10月に開発者とパートナー向けにUbuntu 13.10とともにリリースされました。Canonicalは当初、Galaxy NexusやNexus 4を主にサポートしていましたが、他のデバイス向けのイメージも提供していました。

2014年にはより安定したビルドがリリースされ、Samsung Galaxy S4 Google Editionなどの特定のAndroid端末にプレビュー版をインストールできるようになりました。しかし、2017年4月、Canonicalは市場の関心の低下を理由にサポートを終了。その後、コミュニティプロジェクトとしてUBportsが引き継ぎました。UBportsは2015年にMarius Gripsgardによって開始され、ソースコードはUBports財団に転送されています。

UBportsは、Ubuntu Touchの共同開発をサポートし、その普及を促進することを目的としています。2018年にはUbuntu TouchのベースをUbuntu 16.04 LTSにアップグレードし、2023年にはUbuntu 20.04 LTSをベースにした安定版をリリースしました。

特徴

ロック画面

Ubuntu Touchでは、デバイスの電源を入れた直後にロック画面が表示されるのではなく、アプリケーションを開く際に必要に応じてロック解除を求められます。ウェルカム画面には、ユーザーのステータスや最近のイベントが表示され、過去のアクティビティを反映した円形のデザインが特徴です。

含まれるアプリケーション

Ubuntu Touchには、電卓、メールクライアント、目覚まし時計、ファイルマネージャー、ターミナルなど、基本的なアプリケーションがプリインストールされています。これらのアプリケーションは、デスクトップ環境でも動作させることが可能です。

サイドステージ

サイドステージは、複数のアプリケーションを同時に表示し、作業を効率化するための機能です。画面を分割して「正方形に近いウィンドウ」と「縦長のウィンドウ」を並べて使用できます。ウィンドウのサイズを調整することも可能で、マルチタスクをより進化させることを目指しています。

デザイン

画面の端からスワイプすることで、さまざまな操作を実行できます。左端からのスワイプでランチャーやホームスコープにアクセスでき、右端からのスワイプでアプリの切り替えや終了が可能です。これらの操作は、ホーム画面や実行中のアプリから利用できます。

ターゲット市場

Canonicalの創設者であるマーク・シャトルワースは、Ubuntuが普及している地域、特に発展途上国でのUbuntu Touchの普及を期待していました。しかし、BYOD（Bring Your Own Device）を採用している企業は、すでにAndroidやiOSデバイスに慣れているため、Ubuntu Touchの導入は容易ではないという課題があります。

要件

ハードウェア

Ubuntu Touchは、特定のハードウェア機能をサポートするCPUを必要とします。

ソフトウェア

Ubuntu Touchは、Androidをベースにした多くのデバイスにインストールできます。ただし、これらのデバイスは、新しいOS用にドライバーを再コンパイルできるように、オープンソースのツリーを提供する必要があります。

市販のデバイス

Ubuntu Touchがプリインストールされた最初のスマートフォンは、2015年2月にヨーロッパで発売されたBQ Aquaris E4.5 Ubuntu Editionでした。その後、Meizu MX4 Ubuntu EditionやAquaris E5 Ubuntu Editionなどのスマートフォンが発売されました。

最初のUbuntu Touchタブレットは、2016年4月にリリースされたBQ Aquaris M10 Ubuntu Editionです。また、Meizu PRO 5 Ubuntu Editionのようなプレミアムスマートフォンも登場しました。

最近では、Pine64のPinePhoneやPurismのLibrem 5などのデバイスもUbuntu Touchをサポートしています。さらに、F(x)tec Pro1やVolla Phoneなど、他のメーカーもUbuntu Touchを搭載したデバイスを提供しています。

参考文献

UBports公式サイト

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