V774104

V774104：幻の最遠天体

V774104は、2015年にすばる望遠鏡によって発見が発表された太陽系外縁天体です。しかし、その正体は、一時的な誤解から生まれた「幻の天体」とも言える存在です。

発表時の情報

発表当初、V774104は太陽から103 au（約154億キロメートル）という非常に遠い位置にあるとされました。これは、当時知られていた準惑星エリスやセドナよりも遠く、太陽系の最も外側を公転する天体の一つとして注目を集めました。

V774104は、セドナや2012 VP113と同様に、内オールトの雲に属する天体と考えられていました。軌道はセドナに似た楕円形で、大きさは500 - 1,000キロメートルほどと推定されていました。

実際の正体

しかし、その後の調査で、V774104は、実際には別の天体、(541132) 2015 TG387（内部符号V302126）のことであることが判明しました。V774104という符号は、本来は別の天体2015 TH367に付けられたものだったのですが、発表の際に混同が生じたようです。

2015 TG387は、太陽からの距離が約80 auであり、太陽系外縁天体としては確かに遠いものの、エリスやセドナほどではありません。ただし、遠日点距離は非常に遠く、遠日点距離・軌道長半径・公転周期はいずれも、小惑星番号のついた天体では最大です。

距離の見積もりが過大だったことから、直径も過大に評価されていました。最新のデータでは、2015 TG387の直径は352キロメートルとされています。

もう一つの天体：2015 TH367

一方、本来V774104という符号が付けられていた2015 TH367は、観測期間が1年未満と短く、軌道が正確にはわかっていません。誤差が大きいため、エリスやセドナよりも遠い可能性も否定できませんが、今後の観測による確認が待たれます。

まとめ

V774104は、初期の発表における誤解から生まれた「幻の最遠天体」でした。しかし、その後の観測によって、2015 TG387という興味深い太陽系外縁天体の存在が明らかになりました。太陽系の外縁部には、まだ多くの謎が眠っているのかもしれません。

関連項目

太陽系外縁天体
オールトの雲
セドナ (小惑星)
太陽系
冥王星
2012 VP113

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