セドナ (小惑星)

セドナ：太陽系外縁部の謎多き天体

セドナ(90377 Sedna)は、太陽系外縁部に存在する、準惑星に分類される可能性のある天体です。その特徴は、なんといっても非常に細長い楕円軌道にあります。近日点距離は約76au、遠日点距離は約937auと推定されており、その長大な軌道は太陽を一周するのに約11400年もの時間を要します。

発見と命名

セドナは2003年11月14日、アメリカ合衆国カリフォルニア工科大学、ジェミニ天文台、イェール大学の研究者チームによって、パロマー天文台の望遠鏡を用いて発見されました。発見後、世界各地の望遠鏡でも観測が行われ、その存在が確認されました。

その名前は、北米先住民の伝説に登場する海の女神「セドナ」に由来しています。太陽からの距離が非常に遠いため、表面温度は-240℃以下と推定されており、極寒の環境を連想させる名前が付けられました。

軌道と分類

セドナの近日点距離は、発見当時、太陽系で観測された天体の中でも最も遠いものでした。そのため、発見当初は「太陽系で最も遠い天体」として注目を集めました。しかし、その後、さらに遠い軌道を回る天体が発見されており、現在は「最も遠い」という称号は失われています。

セドナの軌道は、エッジワース・カイパーベルトの外側を通っており、散乱円盤天体と分類されることもありました。しかし、その特異な軌道は、散乱円盤天体とは異なる分類が必要であることを示唆しており、内オールトの雲に属する天体ではないかという説も存在します。「セドノイド」と呼ばれる、セドナのような特異な軌道を有する天体のグループに分類されることもあります。

セドナを含むいくつかの太陽系外縁天体の特異な軌道は、地球の約10倍の質量を持つとされる仮説上の惑星「プラネット・ナイン」の影響によるものという可能性が指摘されています。これは、セドナの軌道の謎を解く上で重要な手がかりとなるかもしれません。

物理的特性

セドナの直径は約995±80kmと推定されており、当初の推定値よりも小さくなりました。これは、セドナのアルベド（反射率）が、当初の推定よりも高いことが判明したためです。セドナの表面は火星に次ぐ赤みを帯びており、太陽系で最も赤い天体のひとつとされています。その赤色は、長期間にわたる宇宙線の影響によって表面にソリンなどの有機物が堆積したためと考えられています。

セドナの自転周期は当初、約40日と推定されていましたが、後の観測によって約10.3時間であることが明らかになり、衛星の存在を示唆する証拠は得られていません。ただし、小さな衛星が存在する可能性は残されています。

準惑星としての可能性

セドナは、そのサイズと質量から、将来準惑星に分類される可能性があります。しかし、準惑星の定義には、その軌道近傍に他の天体が存在しないことも含まれているため、セドナが準惑星に分類されるかは、今後の研究によって判断されるでしょう。

未来の探査

セドナは2076年7月頃に近日点に到達します。この機会に、セドナ探査計画が検討されています。セドナへの探査機ミッションは、木星の重力を利用して航行時間を短縮することが可能であり、2029年から2037年頃の打ち上げが最適とされています。

セドナの探査は、太陽系形成の歴史や、太陽系外縁部の天体の起源や進化を理解する上で重要な役割を果たすことが期待されています。今後の研究と探査によって、セドナを取り巻く謎が解き明かされることを期待しましょう。

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