VAZ-2101 (自動車)

VAZ-2101の概要

VAZ-2101（ヴァース-2101）は、ソビエト連邦のアフトヴァースによって製造された小型セダンで、1970年から1989年の間に販売されました。この車両は、イタリアのフィアット・124ベルリーナを基にしたライセンス生産で、アフトヴァースにとって初の製造車両となります。VAZ-2101をベースにしたクラシックシリーズには、6車種（厳密には44車種）が存在し、2012年まで製造され続けました。

1972年には、VAZ-2101が国際的な賞である「ゴールデン・マーキュリー賞」を受賞し、2000年には自動車雑誌「ザ・ルールム」によって20世紀の最高の国産車に選ばれました。製造期間中の改良はあったもののデザインはほとんど変わらず、総計484万6900台が生産されたというのは、通常の自動車のライフサイクルを考えると驚異的な数字です。

車名の由来

「VAZ-2101」という名称は、型式を示すものであり、正式な車名「ジグリ」はデザイナーのA.M.チェルニーによる提案です。この名称は、製造地であるトリヤッチの対岸にあるジグリ山丘に由来します。車の初期には「ワン」、「ゼロファースト」、「ジグリ」と親しまれる時期がありましたが、1980年代後半からはその低価格から「コペイカ」という愛称も用いられるようになりました。

歴史的背景

1966年8月16日、モスクワでフィアットとの間に乗用車開発に関する協定が結ばれ、この契約により自動車工場の建設プロジェクトが承認されました。そこで製造されることになる車種が決定され、本車VAZ-2101とその派生車両の設計が始まりました。当初は「ラーダ」という名前が考えられましたが、その後アフトヴァースのブランドになったことにより、現在では「ロシアの車」という意味が主流となっています。

開発段階でのフィアット・124に対する評価は高く、最終的にソビエトの技術者たちの意見を取り入れた改良が加えられました。その結果、VAZ-2101はブレーキやサスペンション、エンジンに至るまで多くの改良が施されることになります。特に、簡素な設計が評価され、「壊れやすくも修理しやすい」という特性が支持を集めました。これらの工夫は実際に800箇所以上にも及びました。

製造の実績

VAZ-2101の製造が始まったのは1970年4月19日で、初期の生産台数は小規模でしたが、1971年には17万2,175台に達し、1973年には製造能力が66万台を超えるまでに成長しました。このような成功は、ソビエト連邦の自動車業界に新たな基準をもたらし、部品の製造においても新しい技術基準が採用されました。当初、フィアット以外の外国のブランド部品が使用されたのち、やがて国産品に置き換わっていきました。最終的にVAZ-2101は1983年に製造を終了しましたが、大変な人気を誇りました。

輸出の展開

VAZ-2101は西側諸国にも輸出され、その価格の安さから「飾り気のない車」として人気を博しました。フィアットとの契約により特定の市場における競合が制限されていましたが、フィアット・124の販売終了後、1974年から西ヨーロッパ市場への輸出が開始されました。その後、様々なモデル名で販売され、特にイギリス市場では1974年に979ポンドで販売されました。

VAZ-2102とそのバリエーション

VAZ-2102は1971年にフィアット・124ファミリアーレのライセンス生産として発表され、VAZ-2101と基本設計が一致しています。この車両は、ソ連で「ドヴォイカ」という名で親しまれ、輸出時には「コンビ」という名でも販売されました。

バリエーションのなかで、VAZ-2101とその改良型にはいくつかのモデルが存在し、各モデルは時代に応じた細部が異なります。このように、VAZ-2101シリーズは、多くの人々に愛され続け、車の歴史の中で特別な位置を占めています。

まとめ

VAZ-2101はただの車両ではなく、ソビエト連邦の自動車行政や国民の生活の一部とも言える存在でした。その長い歴史と根強い人気が示すように、多くの人々にとって特別な思い出が詰まった車です。

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