VERGE OF LOVE

荻野目洋子、洋楽への挑戦：アルバム『VERGE OF LOVE』

1988年12月17日、荻野目洋子の9枚目のオリジナルアルバム『VERGE OF LOVE』（ヴァージ・オブ・ラヴ）がビクター音楽産業（現・ビクターエンタテインメント）よりリリースされました。このアルバムは、当時グラミー賞最優秀プロデューサー賞を受賞していたナラダ・マイケル・ウォルデンが全面プロデュースを務めた、荻野目洋子にとって初の海外録音作品という点で大きな注目を集めました。全曲が英語詞で構成されており、日本のポップスシーンにおいて新たな試みと言えるでしょう。

アルバム収録楽曲は、いずれも洗練されたサウンドと、荻野目洋子の魅力的な歌声が融合した、バラエティ豊かな楽曲群です。特に注目すべきは、翌1989年に日本語詞バージョンがシングルカットされヒットした「VERGE OF LOVE」です。この曲は、アルバムのタイトルにもなっている代表曲であり、荻野目洋子の音楽性を象徴する一曲と言えるでしょう。

そのほかにも、『VERGE OF LOVE』には多くの魅力的な楽曲が収録されています。例えば「THIS COULD BE THE NIGHT」は、香港のヒットチャートで1位を獲得するなど、海外でも高い評価を得ました。日本では、共同石油「シエットGP-1」のCMソングとして使用され、多くのリスナーに親しまれました。また、「WICKED」はTBS系の音楽番組「音楽派トゥギャザー」で歌唱され、女性ダンサーと共に迫力のあるダンスパフォーマンスが披露されました。さらに、「PASSAGES OF TIME」と「SOMETHING ABOUT YOU」は、後にニューアレンジでシングル「HOT NEW VERSION」としてリリースされ、再評価されています。これらの楽曲は、2010年にリリースされた『VERGE OF LOVE [+2]』という再発盤アルバムにもボーナストラックとして収録されており、長年に渡り愛され続けていることが分かります。

『VERGE OF LOVE』は、楽曲制作陣も豪華な顔ぶれです。ナラダ・マイケル・ウォルデンに加え、ウォルター・アフナシエフ、リズ・ジャクソン、ジョー・ジョンソン、ジェフリー・コーエン、プレストン・グラス、ジョイス・インベッシ、キャロリン・ヘドリッヒなど、数々のヒット曲を手がけた実力派ミュージシャンが参加しています。彼らの才能と荻野目洋子の歌唱力が融合したことで、『VERGE OF LOVE』は完成度の高い、聴き応えのあるアルバムとなっています。

このアルバムは、荻野目洋子の音楽キャリアにおける重要な転換点となりました。それまでのアイドル的なイメージから脱却し、より洗練された、グローバルなアーティストとしての道を歩み始めたと言えるでしょう。そして、『VERGE OF LOVE』は、日本の音楽史においても、洋楽との融合という新たな可能性を示した記念碑的な作品として、高く評価されているのです。

収録曲一覧

THIS COULD BE THE NIGHT (ジス・クッド・ビー・ザ・ナイト)
SOMETHING ABOUT YOU (サムシング・アバウト・ユー)
PASSAGES OF TIME (パッセージ・オブ・タイム)
WICKED (ウィッケッド)
VERGE OF LOVE (ヴァージ・オブ・ラヴ)
POSTCARD FROM PARIS (ポストカード・フロム・パリ)
SWOOPIN' IN (スゥーピン・イン)
IS IT TRUE (イズ・イット・トゥルー)
DIZZY, DIZZY, DIZZY (ディジー、ディジー、ディジー)
YOU TAKE IT ALL AWAY (ユー・テイク・イット・オール・アウェイ)

これらの楽曲は、それぞれの作詞作曲者によって生み出された、個性豊かな楽曲となっています。ナラダ・マイケル・ウォルデンを筆頭に、豪華な制作陣の参加によって、完成度の高いアルバムに仕上がっていると言えるでしょう。このアルバムは、荻野目洋子の音楽史において、重要な位置を占める作品となっています。

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