VF-11 サンダーボルト

VF-11 サンダーボルトは、「マクロスシリーズ」に登場する可変戦闘機（ヴァリアブル・ファイター＝VF）です。初出は1994年のOVA『マクロスプラス』とテレビアニメ『マクロス7』。VF-1 バルキリーの後継機として、「新統合軍」の主力量産機という位置づけで登場します。

開発経緯

2040年を舞台とする『マクロスプラス』で初登場したVF-11は、VF-1から約30年後の次世代機としてデザインされました。ファイター形態のデザインコンセプトは「翼を広げた翼竜」であり、VF-1との差別化が図られています。一方で、バトロイド形態はVF-1に似たデザインが採用されています。量産機であるため、多数のバリエーションやオプションが用意されているのも特徴です。

『マクロスプラス』では、主人公イサム・ダイソンがYF-19に乗り換える前にVF-11Bに搭乗しますが、YF-21に性能面で劣る描写がされています。しかし、『マクロス7』では発展型のVF-11Cなどが登場し、引き続き主力機として活躍します。

機体解説

VF-11は、2030年に新統合軍の主力機として就役しました。2020年代にはVF-4 ライトニングIIIやVF-5000 スターミラージュといった機体が配備されていましたが、VF-1のような汎用性を持つ次世代機は登場していませんでした。大規模な宇宙移民時代を迎え、移民船団の護衛や治安維持を担う汎用機の需要が高まったため、新統合軍は次世代機開発計画「ノヴァ・プロジェクト」を立ち上げます。このプロジェクトでVFX-11がYF-14との競争に勝利し、VF-11として制式採用されました。

VF-11はトータルバランスを重視した機体であり、特に傑出した性能はありません。しかし、安定した飛行特性や高い信頼性、整備性など、現場での運用評価は高く、多数のバリエーション展開や豊富なオプションを装備可能な拡張性を備えています。エンジンはVF-4に搭載されたFF-2011の約2倍の出力を持つFF-2050Gを搭載しています。

ファイター形態は、VF-1やVF-5000の流れを汲む、大気圏内での空力特性を重視した形状を持ちます。機首両脇の大型カナードが特徴的で、高機動時の操縦性に優れています。バトロイド形態への変形方法はVF-1以来の屈胴式で、変形後のシルエットも似通っています。

VF-11は、後継機のVF-19 エクスカリバーが登場するまでの10年以上にわたり第一線で運用され続けました。退役後は民間に払い下げられ、レジャーやレースなどに使用されています。

武装・オプション

ハワード GU-15 30mm6連ガンポッド: B型用の主武装。銃身先端には収納式の銃剣を備えています。
GU-XS-06 6連重ガンポッド: APS-11装着時のバトロイド形態でのみ運用される大型ガンポッド。
後方対空パルスレーザー砲: 頭部に装備された標準的な武装。
チャフ・フレアディスペンサー: 脚部エンジンナセルに装備。
防弾シールド: ガウォーク/バトロイド形態時に左前腕部に装着。
大気圏内用固体燃料ブースター: 最高速度を大きく高めるブースター。
フォールドブースター: VF-19やVF-22Sと共通のVF用小型フォールドシステム。
スーパーパック: 機動性・攻撃力向上用のオプションパック。
APS-11 アーマードパック: バトロイド形態専用の追加装備。
サウンドブースター: ミレーヌ専用機に装備されるサウンドエナジーを増幅する装備。

バリエーション

VFX-11: 性能評価用の試作機。
VF-11A: 初期生産型。
VF-11B: A型のエンジン推力を向上させた改良型。
VF-11C: B型のアビオニクス改良型。
VE-11 サンダーシーカー: 偵察・電子戦に対応した早期警戒機。
VF-11D: C型の複座練習型。
VF-11MAXL: エンジンを換装し、大幅な改良を加えた準AVF。
VF-11MAXL改ミレーヌ専用機（ミレーヌバルキリー）: ミレーヌ・フレア・ジーナスの専用機。

商品化

バンダイ、やまと、ハセガワからプラモデルや可変トイが発売されています。特に、やまとから発売された1/60完全変形シリーズは、高い完成度を誇ります。

VF-11 サンダーボルトは、その多様なバリエーションとオプション、そしてシリーズを通して描かれる活躍により、マクロスファンに愛される機体の一つです。

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