VF-19 エクスカリバー

VF-19 エクスカリバー：革新的な可変戦闘機

VF-19 エクスカリバーは、マクロスシリーズに登場する可変戦闘機（ヴァリアブル・ファイター＝VF）です。1994年放送のテレビアニメ『マクロス7』で初登場し、ファイター（戦闘機）、バトロイド（人型ロボット）、ガウォークの三形態に変形します。その最大の特徴は、翼端が付け根部分よりも前に位置する前進翼と、従来のVFにはない独自の変形機構です。機体デザインは河森正治が実在の戦闘機「Su-27 フランカー」と実験機「X-29」を参考にしています。

概要

エクスカリバーのデザインが初めて披露されたのは、『マクロスプラス』に登場する試作機「YF-19」です。X-29に基づいた前進翼や、バトロイド形態時にコクピットが胴体内部に格納される変形機構など、従来のVFシリーズとは一線を画すアイデアが取り入れられています。デザインや変形の基本となったのは、河森正治の企画の一つである『空中騎行戦記』のメカ「青嵐」です。バトロイド形態時に腰に主翼が収まるのも青嵐の腰の剣がモチーフになっています。

『マクロス7』では、当初VF-1のデザインを踏襲した「VF-11 サンダーボルト」をメインに展開する予定でしたが、商品化の見込みが少ないという理由からYF-19のデザインが転用されました。主人公の熱気バサラが搭乗する「VF-19改 エクスカリバー 熱気バサラスペシャル（ファイアーバルキリー）」は、従来の「マクロス」のイメージを意図的に壊す試みから、人間のような双眼と口を持つ頭部、両肩に内蔵されたスピーカー、ギター型の操縦桿で演奏しながら操縦する設定が採用されました。

愛称の「エクスカリバー」は、アーサー王物語に登場する聖剣の名前に由来します。

歴代VFシリーズの中でも特に人気が高く、読者投票では常に上位にランクインしています。

機体解説

エクスカリバーは、新統合軍のAVF（Advanced Variable Fighter：次世代全領域可変戦闘機）開発計画「スーパーノヴァ計画」に基づいて、新星インダストリー社が開発した機体です。「VF-17 ナイトメア」などに搭載されていた熱核バーストタービンエンジンの発展型を搭載しており、オプションなしでの大気圏往還や長時間の宇宙活動が可能です。

基本的には前世代主力機VF-11の発展型ですが、競合機として開発されたゼネラル・ギャラクシー社のYF-21（のちのVF-22 シュトゥルムフォーゲルII）に比べ、最新技術の導入は必要最低限に抑えられています。そのため、実用機としての信頼性・完成度の面で優れており、従来のVFシリーズを凌駕する性能を持つに至りました。超AIシステムの導入をはじめアビオニクス面も大幅な改良がなされ、片道20光年のみという制限はあるものの、フォールドブースター装備による単独フォールド航行が可能です。また、VF-22とともにピンポイントバリア（PPB）システムと第三世代型アクティブステルスシステムを搭載した初のVFであり、防御力や隠密性にも優れています。

最大の特徴は「VF-9 カットラス」以来の前進翼の採用です。大迎角飛行での空力特性に優れており、通常の可変翼としての機能も有しています。また、一部の型式を除きカナード翼も装備しています。機首周りの菱形のスリットに収められたVFCや肩部のアクティブ空力制御装置など、大気圏内での空力運動性能を極限まで追求した設計がなされています。

コックピットはバトロイド形態での外景表示スクリーンの広面積化に加え、ファイター/ガウォーク形態においてもキャノピー視界以外の範囲をカバーする外景スクリーンとして機能し、パイロットの視認性を高めています。

可変構造は、頭部・腕部の接続されたバトロイド形態の上半身が機体後方から前方へ覆い被さるように移動する方式が採られています。これにより変形所要時間が20パーセント短縮されただけでなく、VF-1 バルキリーやVF-11のバトロイド形態では胸部前面にあるコクピットが本機では背中側に配置され、パイロットの生存性が向上しました。

開発・改良

YF-19は、単独での敵防空圏突破や拠点制圧能力に優れる高性能機として設計されました。ライバルのYF-21が脳波コントロール（BDIシステム）などの特殊技術を用いたのに対し、YF-19は各種の空力制御装置を駆使した運動能力向上機としての特性を持っています。カナード翼+前進翼という組み合わせは空力的に不安定ですが、それを逆利用してアクロバティックな機動に繋げることを狙っています。

しかし、YF-21に対抗するためにピーキーな調整が施されたYF-19の飛行特性は、「じゃじゃ馬」と称されるほど非常に扱いづらいものとなりました。テストパイロットたちでも予想外の挙動に悩まされ、リタイアが続出しました。

イサム・ダイソンの着任後にテストが再開され、最終的にYF-19は採用コンペティションに勝ち、VF-19 エクスカリバーとして制式採用されることになりました。初期生産型VF-19Aもやはり高度な操縦技量を要するため、少数精鋭の特殊作戦部隊に配備され、反統合テロリストの掃討作戦などで活躍します。その後は新統合軍にて量産化され、VF-19Fおよびその指揮官用VF-19Sでは一般兵士向けに安定性重視の方向で全面改修が行われます。

武装

VF-19の基本兵装は、ガトリングガンポッド、対空レーザー砲塔、半固定レーザー機銃、ピンポイント・バリア・システム、高速機動ミサイル、固定式機関砲などです。オプションとして、ハイマニューバミサイル、推進式レーザーポッド、推進式質量弾発射ポッド、二段式迎撃ミサイル、大型対艦反応弾などを装備可能です。

バリエーション

VF-19には、YF-19、VF-19改、VF-19F、VF-19S、VF-19Pなど、さまざまなバリエーション機が存在します。それぞれに特徴的な外観と性能を持ち、各作品で活躍しています。

YF-19

「プロジェクト・スーパーノヴァ」でVF-22と競合した試作機。イサム・ダイソンがテストパイロットを務めました。

VF-19改

熱気バサラが搭乗するファイアーバルキリー。歌エネルギー変換技術を搭載したスピーカーシステムが特徴です。

VF-19F/S

エメラルドフォースに配備された量産機。F型は一般機、S型は隊長機です。

VF-19P

惑星ゾラパトロール隊仕様。固定武装が強化されています。

商品化

VF-19は、プラモデルや可変トイなど、さまざまな商品が発売されています。バンダイ、ハセガワ、やまと、アルカディアといったメーカーから、様々なスケールや仕様のモデルが登場しており、ファンを魅了しています。

まとめ

VF-19 エクスカリバーは、その革新的なデザインと高い性能で、マクロスシリーズ屈指の人気を誇る可変戦闘機です。各作品に登場する個性的なバリエーション機や、豊富な商品展開も魅力です。

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