VIZIO

VIZIO（ビジオ）について

VIZIOは、アメリカ合衆国を拠点とするファブレスの液晶テレビメーカーです。南カリフォルニア大学出身のウィリアム・ワン氏によって設立され、同氏が現在もCEOを務めています。2005年にカリフォルニア州アーバインで創業して以来、低価格ながらも高品質な製品を提供することで、北米市場において急速にシェアを拡大してきました。

歴史

VIZIOは2005年に設立され、当初から低価格戦略を武器に北米市場で急速に成長しました。2015年には、自動コンテンツ認識技術（ACR）を提供するCognitive Media Networksを買収し、後にInscapeと改称しました。この買収により、ユーザーの視聴データを活用した広告効果の向上やデータ販売による収益増を実現しています。2024年2月には、大手スーパーマーケットのウォルマートがVIZIOを23億ドルで買収することを発表し、業界に大きな衝撃を与えました。

VIZIOの特徴

VIZIOは、製品の企画と設計のみを行い、実際の製造は外部の企業に委託するファブレス企業です。台湾の鴻海精密工業（Foxconn）と、同じく台湾資本のEMSメーカーである瑞軒科技（Amtran Technology Co., Ltd.）と協力関係にあります。瑞軒科技が製品の購買、製造、物流を担当し、鴻海精密工業と瑞軒科技は日本や米HPから液晶パネルを大量に購入することで価格交渉力を高めています。VIZIOは、この価格交渉力を利用して高品質な製品を低価格で提供しています。

製品デザインにもこだわりがあり、スピーカー部やボタン類にアルミ合金を使用するなど、低価格帯の製品とは思えない高級感を持たせています。ドイツでは、日本のグッドデザイン賞に相当する賞を受賞したこともあります。製品の梱包箱も黒とオレンジに銀色を配した洗練されたデザインで、消費者に好印象を与えています。また、カラー印刷された取扱説明書や、色分けされた接続パネルなど、消費者の使いやすさを考慮した工夫もされています。さらに、社員の多くをコールセンター業務に配置し、顧客満足度の向上に力を入れている点も特徴です。

これらの取り組みが功を奏し、VIZIOは北米市場で急速にシェアを伸ばし、2007年には液晶テレビの販売台数で2位に躍進しました。2007年第2四半期には、北米市場における液晶テレビとPDPテレビの合計出荷シェアでSamsungを抜いて1位を獲得しています。売上高は2007年には20億ドルに達しましたが、社員数はわずか90人です。VIZIOは、画像処理半導体の開発も外部に委託しています。

販売チャネルはコストコなどのホールセールクラブやウォルマートが中心で、家電量販店は避けていました。これは、コストを抑えて低価格を実現するための戦略です。また、NBAのバスケットボールチームであるロサンゼルス・クリッパーズのスポンサーも務めています。2008年9月には、コストコの一部店舗で42型液晶テレビの試験販売を日本国内で開始しました。

製品について

VIZIOは、高品質な液晶テレビを低価格で提供することで人気を集めています。2009年には、55型フルHD液晶テレビ「VF551XVT」を北米向けに発表しました。このモデルは、コントラスト比100万対1、120Hz駆動という高性能を備えながら、1,999.99ドルという低価格で販売されました。

2009年の禁輸措置

2009年4月10日、アメリカ国際貿易委員会（ITC）は、日本の船井電機が米国で持つ液晶デジタルテレビ関連の特許を侵害したとして、VIZIOを含む11社の製品に対して輸入・販売禁止命令を下しました。この命令はVIZIOの主力製品であるデジタルテレビも対象となり、事業に大きな影響を与える可能性がありました。しかし、VIZIOはあらゆる法的手段を用いて対抗し、輸入を継続する姿勢を示しました。最終的には、ITCとアメリカ連邦巡回控訴裁判所の双方が、VIZIOの輸入差止命令執行停止の申し立てを却下したため、製品の輸入が一時的に停止されました。

まとめ

VIZIOは、低価格ながら高品質な製品と独自のサプライチェーン戦略によって、北米市場で大きな成功を収めた液晶テレビメーカーです。ウォルマートによる買収という新たな展開を迎え、今後の成長が期待されています。

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