鴻海精密工業

鴻海精密工業（フォックスコン）

鴻海精密工業（ホンハイせいみつこうぎょう、通称フォックスコン）は、台湾を代表するEMS（電子機器受託生産）企業であり、世界最大手として知られています。フォックスコングループの中核企業として、グループ全体の活動を牽引しています。

概要

2001年には収益額で台湾セミコンダクター（TSMC）を抜き、台湾の民間企業でトップに立ちました。さらに2005年には台湾中油をも抜き、現在に至るまで台湾最大の企業としての地位を維持しています。2014年12月期の連結売上高は4兆2131億台湾ドル（約15兆1700億円）に達し、その規模の大きさがうかがえます。また、堺ディスプレイプロダクトの黒字化を成功させるなど、事業再生の実績も有しています。

歴史

鴻海精密工業は、1974年に「鴻海プラスチック工業」として設立されました。当初は白黒テレビのつまみ部分の製造から始まり、その後、家電製品のプラスチック部品へと事業を拡大していきました。

• - 1974年：「鴻海プラスチック工業」として創業、白黒テレビのつまみ製造を開始。
• - 1975年：「鴻海工業」に商号変更、家電製品のプラスチック部品製造に拡大。
• - 1981年：パソコンの基板コネクタ製造を開始。
• - 1982年：「鴻海精密工業」に商号変更、パソコンのケーブル製造を開始。
• - 1985年：アメリカ支社設立、「FOXCONN」ブランド展開を開始。
• - 1988年：中国本土支社設立、「富士康」ブランド展開を開始。
• - 1991年：台湾証券取引所に上場。

1990年代には、パソコンブームの波に乗り、コネクタだけでなく液晶パネルやマザーボードなど、パソコンの主要部品の製造も手掛けるようになりました。2000年代にはM&Aを積極的に行い、企業グループとしての規模をさらに拡大させました。EMS産業の成長に伴い、鴻海の業績も大きく成長しました。

• - 2002年：中華徴信所の評価で、台湾の製造業トップに。
• - 2004年：売上高でEMS企業として世界トップに。
• - 2005年：台湾の経済誌「天下雑誌」の評価で、台湾企業トップに。
• - 2007年：米経済誌「フォーチュン」のグローバル500で154位にランクイン。
• - 2011年：「フォーチュン」グローバル500で60位に。
• - 2016年：シャープを買収。
• - 2018年：「フォーチュン」グローバル500で24位に。
• - 2019年：創業者の郭台銘が会長を退任し、劉揚偉が後任に就任。
• - 2022年：裕隆汽車と共同開発したEV「ラクスジェン N7」を発表。
• - 2022年：サウジアラビア政府系ファンドと合弁でEV生産計画を発表。
• - 2023年：子会社がドイツの自動車部品メーカーを買収。

シャープの買収

2016年、鴻海は経営再建中であったシャープを7000億円超の規模で買収しました。当初、シャープは産業革新機構からの出資を受け入れる方針でしたが、鴻海がより有利な条件を提示したため、最終的に鴻海案が採用されました。鴻海によるシャープ買収の背景には、同社の成長鈍化があり、シャープを新たな成長エンジンとしたいという意図がありました。シャープ買収後、鴻海は有機液晶パネルへの投資を継続するなど、事業の立て直しを図っています。

過去には、2012年に鴻海がシャープへの出資を試みたものの、株価変動により中止された経緯もありました。

近年の動向

近年、鴻海は自動車産業への参入を積極的に進めており、電気自動車の開発・生産にも力を入れています。サウジアラビアでのEV生産計画や、自動車部品メーカーの買収など、その動きは多岐にわたります。

まとめ

鴻海精密工業は、EMS業界のリーダーとして世界経済に大きな影響を与えています。創業から現在まで、常に変化を恐れず事業を拡大し続けており、今後の更なる成長が期待される企業です。

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