VSS Unity

ヴァージン・ギャラクティック船団の一翼を担ったVSS Unity（ヴァージン宇宙船「Unity」、機体記号：N202VG）は、スペースシップツークラスに属する弾道飛行を行う有人スペースプレーンです。この機体はスペースシップツーとして2番目に製造されました。

当初、この機体は「スペースシップツー、シリアルナンバー2」と呼ばれていましたが、2016年2月19日の公開時に正式名称として「VSS Unity」が発表されました。命名者は著名な英国の物理学者であるスティーヴン・ホーキング博士であり、機体の側面にあしらわれた特徴的な目のロゴは、ホーキング博士の瞳をモデルにしたものです。一時期、「VSS Voyager」という非公式な名称がメディア等で報じられたこともありましたが、これは憶測に基づく通称に過ぎませんでした。

VSS Unityの製造は2012年に始まりました。2014年9月には機体登録が申請され、同年11月初旬の時点では、構造部分が約90%完了し、全体としても65%が完成していました。その後の開発は順調に進み、2015年5月21日には、機体自身が車輪で重量を支えるという重要なマイルストーンを達成しました。これは、先行機であるVSS Enterpriseが2014年10月下旬の事故で失われた後、ヴァージン・ギャラクティックにとって特に重要な機体となったVSS Unityへの期待を示すものでした。

2016年2月19日に一般公開された後、システム統合テストを含む初期の地上試験プログラムが開始されました。これらの試験は同年9月に完了し、同月中にVSS Unityは初の飛行試験を実施しました。その後も飛行試験は継続され、機体の性能や安全性が検証されました。

VSS Unityにとって歴史的な一歩となったのは、2018年12月13日に行われた飛行です。このミッションで、パイロット2名が搭乗したVSS Unityは高度82.7kmに到達し、VSS Enterpriseでは達成されなかった有人宇宙飛行（米国における宇宙空間の定義である高度50マイル/約80km超え）を初めて実現しました。

さらに、商業宇宙旅行の実現に向けた重要な試験飛行が2021年7月11日に実施されました。この飛行では、パイロット以外に初めて乗客が搭乗し、その中にはヴァージン・ギャラクティックの創業者であるリチャード・ブランソン氏も含まれていました。VSS Unityはこの時、高度86kmに到達し、将来の宇宙旅行を現実のものとすることを世界に示しました。しかしながら、この飛行では飛行経路の逸脱といった技術的な課題も確認されたため、商業飛行の開始は計画より遅れることとなりました。

技術的な課題への対応と準備を経て、VSS Unityによる初の商業宇宙旅行ミッション「Galactic 01」は2023年6月29日に成功裏に実施されました。これ以降、VSS Unityはヴァージン・ギャラクティックの商業運航の中心となり、定期的な宇宙旅行サービスを提供しました。インプット情報によると、初の商業飛行後、さらに7回の商業飛行が行われたとされており、合計で8回の商業ミッションを遂行したと考えられます。商業飛行以外の試験飛行等を含めると、VSS Unityは合計12回の宇宙飛行を実施しました。

そして、VSS Unityは2024年6月8日に行われた12回目の宇宙飛行を最後に、その運用プログラムを完了し、スペースシップツーとしての役目を終え退役しました。VSS Unityは、初の有人宇宙飛行の達成から商業宇宙旅行の実現まで、ヴァージン・ギャラクティックの歴史における重要な功績を残した機体と言えます。

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