ヴァージン・ギャラクティック

ヴァージン・ギャラクティック：宇宙旅行のパイオニア

ヴァージン・ギャラクティック社は、リチャード・ブランソン卿が率いるヴァージン・グループの宇宙旅行事業を担う企業として知られています。かつては人工衛星の打ち上げ事業にも携わっていましたが、現在は、商業宇宙旅行に注力しています。同社は、スケールド・コンポジッツ社との技術提携を通じて開発された再利用可能な宇宙船「スペースシップツー」を用いて、一般顧客を対象とした宇宙旅行サービスを提供しています。

ニューメキシコ州のスペースポート・アメリカとスウェーデン北部のスペースポート・スウェーデンに宇宙旅行拠点施設を建設し、商業飛行を展開しています。スケールド・コンポジッツ社は、世界的な宇宙開発コンテストであるAnsari X Prizeにおいて、「スペースシップワン」による弾道飛行で優勝した実績を持つ企業です。

ヴァージン・ギャラクティック社の事業は、単なる宇宙旅行の提供にとどまりません。同社は、2019年10月、商業飛行開始前にSPAC（特別買収目的会社）を通じてニューヨーク証券取引所に上場しました。これは、宇宙旅行会社として世界初の快挙であり、宇宙旅行市場における同社の先進性を示す出来事でした。上場時の時価総額は約10億ドルに達し、高い市場評価を得ています。日本の公式代理店は、クラブツーリズム・スペースツアーズです。

2021年の有人飛行と商業化

2021年7月には、リチャード・ブランソン卿を含む6名が搭乗したスペースシップツーが、高度約80キロメートルに到達。3分間の無重力体験を実現し、安全に帰還しました。この有人宇宙飛行は、民間企業が開発した宇宙船による有人宇宙飛行において、新たな歴史を刻みました。

同社は、年500人の観光客を一人あたり25万ドル（当初は45万ドル）の料金で宇宙へ送る計画を発表しています。高度約100キロメートルという大気圏と宇宙のおおよその境界を超える弾道飛行を行い、約6分間の無重力体験を提供することを目指しています。

技術開発と安全対策

ヴァージン・ギャラクティック社の技術基盤は、スペースシップツーに代表されます。母機である「ホワイトナイトツー」から空中で分離した後、ロケットエンジンによる推進で宇宙空間を目指します。「フェザリング」と呼ばれる独自の降下技術も開発し、安全な帰還を実現しています。

しかし、開発過程においては、2014年にスペースシップツーの試験飛行中に事故が発生し、犠牲者も出ました。米運輸安全委員会の調査結果を受けて、安全性向上に努め、飛行実験を再開、更なる安全対策を講じた上で、商業飛行を再開しました。

現在の状況と将来計画

2023年6月より、商業宇宙旅行の運用を開始し、現在までに複数回の商業飛行を実施しました。 2023年11月には科学実験を含むミッションも実施。月1回のペースでの商業飛行を継続しています。

スペースシップツーの後継機として、「スペースシップIII」の開発も進められていましたが、2024年現在、Delta Classと呼ばれる新型宇宙船の開発に注力しています。Delta Classは、最大6人の乗客を乗せ、週1回の飛行を可能にすることを目標としています。

ヴァージン・ギャラクティック社は、宇宙旅行の民主化を目指し、宇宙へのアクセスをより多くの人々に提供することを目指しています。将来的には、軌道上を周回する宇宙機の投入も計画しており、宇宙旅行市場における更なる発展に貢献していくことが期待されます。

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