Vodafone 802N

Vodafone 802N：ソフトバンク3G時代のミドルレンジ端末

2005年2月、当時のボーダフォン日本法人（現ソフトバンク）より発売されたVodafone 802Nは、SoftBank 3G（旧Vodafone 3G）ネットワークに対応した携帯電話端末です。同社の3Gサービス対応機種の中ではミドルレンジに位置付けられており、当時としてはバランスの取れた機能とデザインが特徴でした。

デザインと機能性

Vodafone 802Nは、直線的な角張ったデザインが印象的な端末でした。この独特のデザインは高く評価され、NTTドコモのN701iと共にグッドデザイン賞（商品デザイン部門）を受賞しています。機能面では、複数のアプリケーションを同時に実行できるマルチタスク機能を搭載。さらに、待ち受け画面にショートカットアイコンを登録できる「コンパクトデスクトップ」機能も提供し、ユーザーの利便性を向上させていました。

通信機能と制約

本機はSoftBank 3G（W-CDMA）ネットワークに対応していましたが、GSMネットワークには非対応だったため、国際ローミングは利用できませんでした。また、当時人気の高かったS!ケータイ動画サービスにも対応していなかった点は、一部ユーザーにとって制約となった可能性があります。当時としては、このあたりの機能の取捨選択が、ミドルレンジモデルとしての価格設定に影響していたと考えられます。

サービス終了と機種交換

ソフトバンクモバイルは、2011年11月以降に音声ネットワークの最適化を予定していました。この最適化により、Vodafone 802Nでは通話品質の低下や一部機能の制限が生じる可能性があったため、ソフトバンクモバイルは2011年10月まで、本機種を対象機種との無償交換プログラムを実施しました。これは、サービス継続に支障をきたす可能性のある機種に対して、ユーザーへの配慮を示した措置と言えるでしょう。

まとめ：時代の証言

Vodafone 802Nは、SoftBank 3Gサービス黎明期における代表的なミドルレンジ端末として、多くのユーザーに利用されました。そのデザイン性と機能性は、当時としては先進的なものであり、携帯電話の歴史における重要な一端を担っています。しかしながら、技術革新の速い携帯電話業界において、国際ローミング非対応やサービス終了に伴う機種交換プログラムといった側面からも、時代の流れと技術進化を垣間見ることができる機種と言えるでしょう。 今日では既にサービスを終了しており、実際に使用することはできませんが、当時の携帯電話事情を知る上で貴重な資料と言えるでしょう。

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