Voices under the water/in the hall

角松敏生 ライブアルバム『voices under the water/in the hall』詳細

1999年6月23日にリリースされた角松敏生氏の2枚組ライブアルバム『voices under the water/in the hall』は、彼の音楽キャリアにおいて重要な位置を占める作品です。このアルバムは、角松氏の代表作である『TIME TUNNEL』からの楽曲をライブバージョンで収録すると共に、インストゥルメンタル楽曲も豊富に収録することで、スタジオ録音とは異なる、ダイナミックで臨場感溢れる彼の音楽世界を聴くことができる作品となっています。

特に注目すべき点は、アルバム全体を彩る海洋生物をモチーフとしたサウンドデザインです。イルカやクジラの鳴き声を彷彿とさせる音響効果が随所に使用されており、聴く者に深海や大自然の広がりを感じさせる、独特の雰囲気を醸し出しています。楽曲間の繋ぎとしても効果的に使用され、アルバム全体に統一感と奥行きを与えています。これらの効果音は単なる装飾ではなく、楽曲の情感を効果的に高める重要な要素として機能しています。

DISC1では、『TIME TUNNEL』収録楽曲のライブバージョンを中心に構成されています。各楽曲は、スタジオ録音とは異なるアレンジや演奏で、ライブならではの熱気と迫力が感じられます。特に「SHIBUYA」や「Rendezvous」といった代表曲は、ライブパフォーマンスによって新たな魅力が開花しており、原曲を知るリスナーにとっても新鮮な驚きがあるでしょう。また、インストゥルメンタル曲である「〜Wing Beach〜」や「〜Whale Tail in Sundown〜」は、前述の海洋生物をモチーフとしたサウンドデザインが最も顕著に表れており、アルバム全体の雰囲気を決定づける重要な役割を果たしています。

DISC2は、より実験的な要素が強く、インストゥルメンタル楽曲の比率が高くなっています。「〜1st Dive〜」や「〜Sunrise Dive〜」といったタイトルからも、海洋をテーマとした壮大なスケール感が伝わってきます。これらのインストゥルメンタルは、単なる背景音楽ではなく、楽曲自体が一つの物語を語るような構成となっており、リスナーの想像力を掻き立てます。また、このディスクには、既に廃盤となっていたCDシングル「もう一度…and then」のライブバージョンが収録されており、このアルバムでしか聴くことができない貴重な音源となっています。この曲は、1998年5月18日に行われた日本武道館公演の音源を使用しており、角松氏の圧倒的なライブパフォーマンスを体感できる、聴き応えのある楽曲です。

『voices under the water/in the hall』は、単なるライブアルバムの枠を超えた、角松敏生氏の音楽的探求と表現力の高さを示す作品です。彼の音楽を深く理解したいリスナーはもちろん、初めて角松敏生の音楽に触れるリスナーにとっても、その魅力を存分に味わえる、おすすめの一枚と言えるでしょう。アルバム全体を通して、角松氏の卓越した音楽センスと、ライブパフォーマンスの素晴らしさが凝縮されており、何度聴いても新たな発見がある、奥深い作品です。そのサウンドデザイン、楽曲構成、そしてパフォーマンスの全てにおいて、角松敏生氏のアーティストとしての真髄が感じられる、まさに必聴のライブアルバムです。

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