Vyatta

Vyatta (ビアッタ)とは



Vyattaは、かつてアメリカのVyatta社によって開発されていた、オープンソースのソフトウェアルーターです。Debian GNU/Linuxをベースとしており、標準的なLinuxコマンドに加え、他のハードウェアルーターからの移行を容易にするための独自のコマンドが用意されていました。

特徴



  • - 柔軟な環境: XenやVMwareなどの仮想環境上でも動作し、それらのためのイメージも配布されていました。これにより、物理的なハードウェアに依存しない柔軟なネットワーク構築が可能でした。
  • - 多様なライセンス: 有償ライセンスのVyatta Subscription EditionとVyatta Plus subscription service、そして無償で利用可能なVyatta Coreが存在しました。無償版は2006年3月からダウンロードが開始されました。

歴史



  • - ブロケードによる買収: 2012年11月5日、ハードウェアベンダーのブロケード コミュニケーションズ システムズがVyattaを買収しました。当初はオープンソースとしてのサポートが継続される予定でしたが、ブロケード社は後にVyatta Core Editionの開発を中止しました。
  • - VyOSへのフォーク: Vyatta Core Editionの開発中止を受け、2013年後半から無償版からフォークされたオープンソースプロジェクトとしてVyOSの開発が開始されました。VyOSはVyattaの精神を受け継ぐ後継プロジェクトと言えるでしょう。
  • - AT&Tによる買収: 2017年6月2日、AT&Tがブロケード社からVyattaの資産を買収しました。
  • - Cienaによる買収: 2021年9月2日、CienaがAT&TからVyattaのバーチャルルーティング／スイッチング技術を買収しました。

機能



Vyattaは、以下のような多彩な機能を備えていました。

プロトコル



ファイアウォール機能


  • - NAT (Network Address Translation): プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換する機能。
  • - ステートフルインスペクション ファイアウォール: 通信の状態を追跡し、不正な通信を防ぐファイアウォール。
  • - ゾーンベース ポリシー ファイアウォール: ネットワークをゾーンに分け、ゾーンごとに異なるポリシーを適用するファイアウォール。

VPN機能


  • - SSL-based OpenVPN: SSL/TLSを用いた安全なVPN接続。
  • - Site to Site VPN (IPSec): 拠点間を安全に接続するVPN。
  • - Remote VPN (PPTP, L2TP, IPSec): リモートからのアクセスを安全に行うVPN。

インターフェイス


  • - LANインターフェイス: Ethernet, ループバック, VLAN, ブリッジ, Ethernet Bonding, 無線LANなど、多様なインターフェースに対応。
  • - WANインターフェイス: Serial, DSL, Wireless Modemなど、さまざまなWAN接続に対応。

その他機能


  • - DHCP Server/Client/Relay: IPアドレスを自動的に割り当てるDHCP機能。
  • - DHCPv6対応: IPv6に対応したDHCP機能。
  • - ダイナミックDNS: 動的に変動するIPアドレスをDNSに登録する機能。
  • - DNS転送: DNSクエリを他のDNSサーバーに転送する機能。
  • - CLI, Web GUI: コマンドラインインターフェース（CLI）とWebベースのGUIでの操作が可能。
  • - Remote Access API: 有償版でのみ提供されるAPI。
  • - IP Services: SSH, Telnet, DHCP, DNS, Web CachingなどのIPサービスを提供。
  • - QoS: 通信の優先度を制御するQoS機能。
  • - High Availability: Stateful Failover, Config Replication, WAN LB, クラスタリング, VRRP, RAIDなどの高可用性機能。

システム要件



Vyattaの動作に必要なシステム要件は以下の通りです。

  • - x86 CPU (1core以上)
  • - 512MB以上のRAM
  • - 2GB以上のディスク

関連事項



Vyattaは、ソフトウェアルーターやオペレーティングシステムの分野において重要な役割を果たしました。その思想はVyOSへと引き継がれ、現在でも多くのユーザーに利用されています。

外部リンク



もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。