Wけんじ

Wけんじ：東京漫才のレジェンド

Wけんじは、東けんじと宮城けんじからなる、1961年に結成された日本の漫才コンビです。軽妙な掛け合いと、独特の笑いを武器に、1960年代を中心に一世を風靡しました。二人の息の合った漫才は、東京漫才史に燦然と輝く金字塔と言えるでしょう。

メンバー

東けんじ: 栃木県宇都宮市出身。本名は大谷健二。ネタ作りを担当し、ボケ役として、レンズの入っていないロイド眼鏡をかけたとぼけた風貌と、テンポの速いしゃべりで観客を魅了しました。1999年、肝不全のため75歳で逝去。
宮城けんじ: 宮城県亘理郡逢隈村（現：亘理町）出身。本名は寺島文雄。キレのあるツッコミで東けんじのボケを引き立て、コンビの絶妙なバランスを保ちました。2005年、肺がんのため81歳で逝去。

コンビとしての活躍

Wけんじの漫才は、軽快なテンポと、東けんじのアドリブ満載のボケ、宮城けんじの鋭いツッコミが特徴でした。定番ギャグである「私、宮城けんじ」「ボク、東けんじ」「二人合わせて、Wけんじ！」から始まる漫才は、多くの観客を沸かせました。「やんなっ！」「なっ！オー！」「バカだなっ！」といった流行語を生み出したことも、彼らの大きな功績と言えるでしょう。

全盛期には、ヘリコプターで移動して複数の舞台を掛け持ちするほどの人気ぶりで、浅草松竹演芸場や日比谷・東宝演芸場など、東京の演芸界を代表する舞台で活躍しました。得意の演目には「愛染かつら」「ど忘れ物語」「調子いい物語」「娘の誕生日」などがあり、特に「愛染かつら」は十八番として親しまれていました。東けんじが得意とした、動かないままに歩いているように見えるパントマイムも、大きな見どころでした。

舞台を降りた後の東けんじは飲み屋へ、宮城けんじは雀荘へと向かうという対照的な一面も持ち合わせていました。

1980年には落語芸術協会に入会。漫才協団幹部として浅草松竹演芸場にも定席を持ち、東京演芸人の最高峰とされた東宝名人会にも多数出演しました。コンビ結成40周年を目前に控えた1999年、東けんじの死去により事実上解散しました。しかし、2008年には「東京漫才の殿堂」入りを果たし、その功績は今もなお語り継がれています。

二人の経歴

東けんじは、東野鉄道に勤務後、芸事に魅せられ、サーカス団やレビュー団を経て漫才の世界へ。宮城けんじは子役としてデビューし、軽演劇や歌手春日八郎の専属司会を経て、東けんじからの誘いでWけんじを結成しました。

結成当初はキャバレー回りで鍛錬を積み、多くのギャグをテンポよく繰り出すスタイルを確立。その後、「大正テレビ寄席」の出演をきっかけに人気が爆発し、多忙を極める日々を送りました。

1966年には、東けんじの失踪騒動も発生。酒の飲みすぎが原因で寝坊し、収録に遅刻したことから、一時的に実家に帰郷するという出来事がありました。この事件は、当時大きな話題となり、牧伸二のウクレレ漫談のネタにも取り上げられました。

看板ギャグの「やんなっ！」は、宮城けんじが東けんじを叩いた際、偶然生まれたアドリブがヒットしたことから生まれたものです。

弟子とW一門

Wけんじは、多くの弟子を育成し、「W一門」と呼ばれるほど大きな影響力を持っていました。Wモアモア、東京二、Wエースの谷エース、ニックス、Wリンダ、ねづっち（元Wコロン）、馬王（元エコギャング）、Wチャンス、ザ・ゲタゲタ、そして人気ラーメン店「なんでんかんでん」の川原ひろし社長なども、W一門に属しています。

エピソードと出演歴

1954年の洞爺丸事故では、東けんじの酔いつぶれにより、乗船を回避し難を逃れるというエピソードも残っています。テレビ、ラジオ、映画、舞台など、多方面で活躍したWけんじ。その活動は数多くの番組や作品に記録されています。

Wけんじは、漫才の枠を超えた幅広い活躍で、日本の芸能史に大きな足跡を残したコンビと言えるでしょう。彼らの功績は、これからも多くの人々に語り継がれていくことでしょう。

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