W型18気筒

W型18気筒エンジンの概要

W型18気筒エンジン（W18）は、ピストン式内燃機関の一つで、その特長的なシリンダーの配置が注目されています。通常、このエンジンは直列6気筒エンジンを3列に配置し、それぞれ60度ないし90度のバンク角度で構成される3バンク式のレイアウトを採用しています。このような設計は、冷却性や吸排気の取り回しに課題を持つため、実用化は難しいのが現実です。

開発の歴史

このW型エンジンの重要な開発例は、1920年代にイタリアのIsotta-Fraschiniが手がけた「Asso 750」および「Asso 1000」エンジンです。これらはそれぞれ820馬力と1100馬力を発揮し、特に1933年には24機の飛行機がシカゴへの飛行に成功しました。このエンジンはW型18気筒の成功事例として歴史に名を刻んでいます。また、フォルクスワーゲンも独自の技術を用いて4バンク式のW型18気筒エンジンの開発に挑みましたが、複雑な構造が生産の難しさを露呈し、市販にはならなかったのです。現在、W型エンジン技術の中での大シリンダー数を誇るのはブガッティ・ヴェイロンのW型16気筒エンジンとなっています。

ブガッティとW型18気筒

近年では、ブガッティがW型18気筒エンジンの試作を行い、1990年代末には幾つかのプロトタイプで搭載されることとなりました。これにはブガッティ・EB 118、EB 218、そして18/3が含まれるものの、最終的には複雑さや信頼性の問題から市販化には至りませんでした。

モータースポーツでの試み

1967年、フェラーリはW型18気筒エンジンの可能性を探るため、500ccのW型3気筒エンジンを基に、3,000ccのエンジンを設計しました。この計画では11,000rpmで160馬力を目指していましたが、最終的にはこのアイデアも実現には至りませんでした。さらに、1972年にはF1のレギュレーションで13気筒以上のエンジンが禁止されたことで、W18エンジンへの期待は断たれました。その後、関連するエンジニアが新たな場でW型12気筒エンジンを開発し、F1に参戦しましたが、結果は残念なものでした。

結論

このようにW型18気筒エンジンは、その特殊な設計により多くの可能性と同時に大きな課題も抱えています。数多くの挑戦がなされましたが、商業的成功を収めるには至っていません。それでも、このエンジンの開発や試行は、内燃機関技術の限界を試す重要なステップであり、今後もその進展が期待されます。

もう一度検索