W9 (核砲弾)

W9 核砲弾の概要

W9は、アメリカ合衆国が開発した核砲弾であり、特にM65 280mmカノン砲に対応する形で設計されています。この核砲弾は1952年から1953年の間に生産され、アメリカ陸軍の初の核砲弾として歴史的な役割を果たしました。生産された数は80発に限られています。

構造と機能

W9の核弾頭は、ガンバレル方式と呼ばれる独特の構造を備えており、核分裂反応を促進するために必要な設計がなされています。具体的には、50kgの高濃縮ウランを用いて、砲弾状のものとリング状のものを衝突させることで臨界量に達し、核分裂が始まります。

この核砲弾は、直径11インチ（約28センチ）、長さ54インチ（約137センチ）、そして重さは800ポンド（約363kg）という巨大なサイズを誇ります。そのため、扱いには高度な技術が求められました。核出力は15キロトンで、相当な破壊力を持っていることが特徴です。

核実験と運用

W9は1953年5月25日に実施された核実験「アップショット・ノットホール作戦」で初めて実射されました。この実験はネバダ核実験場で行われ、W9の性能を確認する重要な機会となりました。他の兵器と同様、核砲弾も現実の戦闘状況で使用されることを想定して開発されていました。

装備の変遷

W9による核砲弾の配備は1957年まで続きましたが、その後、W19核砲弾に取って代わられる形で替えられました。W19はW9の進化版であり、より高性能な核弾頭として編成されました。また、W9の弾頭部はT4核爆破資材に再利用された経歴もあり、これは1957年から1963年にかけて使用されました。

まとめ

W9は、アメリカ陸軍における核兵器の発展の重要な一部として、その歴史的意義を持っています。核砲弾としての特徴と性能によって、冷戦時代の軍事戦略において重要な役割を果たしたW9の存在は、今なお核兵器の歴史における一つの象徴として認識されています。

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