WASP-19b

WASP-19b：灼熱の巨大惑星

WASP-19bは、ほ座の方向約815光年先に位置する恒星WASP-19の周囲を公転する太陽系外惑星です。この惑星は、恒星の極めて近くを公転する巨大ガス惑星である「ホット・ジュピター」に分類されます。

軌道と特徴

WASP-19bは、半径約0.0165天文単位（au）という非常に小さな軌道を、わずか0.79日（約19時間）という短時間で周回しています。これは、太陽系の惑星と比較して非常に高速な公転です。質量は木星に近いものの、半径は木星よりも大きく、平均密度は低いという特徴を持っています。この特徴は、ホット・ジュピターに共通するものです。

主星であるWASP-19は、太陽に似たG型主系列星で、自転周期は約10日程度と比較的短いです。これは、WASP-19系が誕生してから数億年と若い惑星系である可能性を示唆しています。また、恒星と惑星の潮汐相互作用によって、恒星の自転が加速した可能性も考えられています。

温度と熱輸送

赤外線による観測では、WASP-19bの昼側の半球の温度は、約2540K（±180K）に達することがわかっています。これは、理論的に予測される平衡温度よりも約500Kも高く、昼側から夜側への熱輸送が効率的に行われていないことを示しています。この温度差は、惑星の大気の特性や運動によって引き起こされると考えられています。

将来

WASP-19bは、恒星との潮汐力によって、いずれは恒星に落下すると考えられていますが、具体的な時期はまだ不明です。

名称

2022年、国際天文学連合（IAU）は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の優先観測目標候補となっている太陽系外惑星とその親星の命名キャンペーン「NameExoWorlds 2022」を実施しました。このキャンペーンでは、公募により惑星と恒星の名前を決定することになりました。WASP-19とWASP-19bもその対象となり、最終的にWASP-19は「Wattle（ワトル）」、WASP-19bは「Banksia（バンクシア）」と命名されました。

ワトルは、約1000種からなる低木・木の属で、その一種であるゴールデン・ワトル（Acacia pycnantha）はオーストラリアの国花にもなっており、WASP-19の黄色がかった色を連想させます。バンクシアは、オーストラリア原産の野生または園芸用の花が知られる木からなる属で、先住民アボリジニやトレス海峡諸島民は、薬や水のろ材、甘い飲み物を作るための蜜源として利用してきました。乾燥した花序はたいまつとしても使われ、WASP-19bの熱く輝く昼の面を彷彿とさせます。

関連情報

太陽系外惑星の一覧
WASP Planets
NASA Exoplanet Archive - 惑星系 - 惑星 - Overview - TransitView
The Extrasolar Planets Encyclopaedia
NASA Exoplanet Exploration
SIMBAD - 恒星 - 惑星
Open Exoplanet Catalogue
Exokyoto - 恒星日本語 - 恒星英語 - 惑星日本語 - 惑星英語
* Exoplanets Data Explorer

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