WASP-7

WASP-7 星系

WASP-7は、地球から約456光年の距離にある、けんびきょう座に位置する恒星です。正式名称はHD 197286としても知られています。この天体は、太陽よりも質量が約28%大きく、より明るく、表面温度も高いF型主系列星に分類されます。

その見かけの明るさは9等級と比較的暗く、特別な観測機器を用いない限り、肉眼で捉えることはできません。しかし、口径の小さな天体望遠鏡でも観測可能であり、アマチュア天文家にとっても興味深い観測対象の一つとなっています。遠い宇宙に存在する恒星ですが、その物理的性質は詳細な観測によって明らかにされつつあります。

惑星 WASP-7b

WASP-7星系が注目される最も大きな理由は、周囲を公転する太陽系外惑星の存在です。2008年、世界各地に設置された自動望遠鏡ネットワークを用いたスーパーWASPプロジェクトにより、この恒星の周囲を回る惑星WASP-7bが発見されたことが発表されました。この発見は、惑星が恒星の前を横切る際に生じる光のわずかな減光を捉える、トランジット法と呼ばれる観測手法によって成し遂げられました。

発見された惑星WASP-7bは、「ホットジュピター」と呼ばれるタイプの巨大ガス惑星です。ホットジュピターは、木星のような巨大なガス惑星でありながら、主星から非常に近い軌道を公転しているのが特徴です。WASP-7bもその例に漏れず、質量は太陽系の木星とほぼ同じ程度と推定されています。そして、母星であるWASP-7から極めて近い距離を周回しているため、その表面は極端に高温に熱せられています。その温度は非常に高く、惑星自体が熱によって輝いていると表現されるほどです。

WASP-7bのようなホットジュピターの存在は、従来の惑星形成理論にとって挑戦状を突きつけるものであり、巨大惑星がどのようにして主星の近くへと移動するのか（惑星移動）、あるいはどのようにしてその軌道を維持するのかなど、多くの謎が残されています。WASP-7とその惑星WASP-7bの研究は、多様な惑星系の形成や進化の過程を理解する上で重要な手がかりを提供しています。太陽系とは全く異なる環境を持つこの星系は、広がり続ける太陽系外惑星研究の一端を担っています。

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