スーパーWASP

スーパーWASPについて

スーパーWASP（Super Wide Angle Search for Planets）は、全天をカバーする広範囲な観測を行い、太陽系外[[惑星]]のトランジット法による検出を目的とした国際プロジェクトです。実視等級が13等級までの恒星を対象とし、特に惑星が恒星の前を通過する際に起こるわずかな減光を捉えることで惑星の存在を明らかにします。

このプロジェクトは、北半球と南半球の2つの観測拠点から構成されています。北半球ではカナリア諸島ラ・パルマ島のロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台に「WASP-North」が、南半球では南アフリカ共和国の南アフリカ天文台に「WASP-South」が設置されています。両天文台には、2k×2kの高品質CCDイメージセンサーを搭載した8台のキヤノン200mm f1.8レンズが使用されています。これらの望遠鏡はOptical Mechanics, Inc.によって製造され、各天文台で一回の観測あたり約500平方度という広い視野を捉えることが可能です。

観測は継続的に行われ、ほぼ1分間に1枚の画像が撮影されます。これにより、一晩で約100GBものデータが収集されます。集められたデータは、トランジット法に基づき解析され、恒星の明るさのわずかな変化を捉えることで惑星の発見に至ります。スーパーWASPは、Instituto de Astrofisica de Canariasをはじめとする8つの研究機関からなるコンソーシアムによって運営されており、将来的な地球型惑星の探索に向け、惑星の進化を理解するための重要な役割を担っています。

主な惑星の発見

スーパーWASPは、数多くの太陽系外[[惑星]]を発見しており、その中でも特に興味深い例をいくつか紹介します。

WASP-1b と WASP-2b: 2006年9月、スーパーWASPチームはこれらの惑星の発見を発表しました。WASP-1bは恒星の周りを約2.5日周期で公転し、WASP-2bは約2日周期で公転しています。
WASP-3b, WASP-4b, WASP-5b: 2007年10月に発見が発表されたこれらの惑星は、木星と同程度の質量を持ち、公転周期が2日以内と非常に短いのが特徴です。恒星に近い軌道を公転するため表面温度は2000度を超える高温になっています。これらの惑星は、スーパーWASPが北半球と南半球の両方でトランジット法を用いて検出した最初の例です。
WASP-12b: 2008年4月に発見されたこの惑星は、非常に暗く、可視光の94%以上を吸収します。また、大気が流出しており、サイズが縮小している可能性があります。
WASP-17b: 2009年8月に発表されたこの惑星は、主星の自転方向と逆方向に公転すると考えられる初めての例です。木星の2倍近い大きさですが、密度は発泡スチロール程度と非常に低いのが特徴です。同時に発見が発表されたWASP-18bは、木星の10倍の質量を持つ重い惑星で、潮汐力によって100万年以内に主星に落下する可能性があると指摘されています。
WASP-39b: 2011年に発見されたこの惑星は、ホットサターンと呼ばれ、土星の3倍もの水蒸気が存在することが明らかになりました。
WASP-47bとその惑星系: 同じく2011年に発見されたWASP-47bは、2015年にWASP-47c, WASP-47d, WASP-47eが追加で発見され、4つの惑星を持つことが判明しました。このうち、cはドップラー分光法で検出されています。
WASP-49b: 同じく2011年に発見されたWASP-49bは、イオのような衛星を持っている可能性が指摘されています。
WASP-76b: 2013年に発見されたこの惑星は潮汐固定が発生しており、昼側では鉄が蒸発して蒸気となり、夜側ではそれが冷やされて鉄の雨が降っている可能性があります。
WASP-121b: 2015年に発見されたこの惑星は、マグネシウムや鉄などの物質が流出しており、潮汐力によってラグビーボールのような形状に変形していると考えられています。

発見された惑星の数

2024年11月26日現在、スーパーWASPによって198個の惑星が発見されています。この中には、褐色矮星（木星の13倍以上の質量を持つ天体）や、発見が取り下げられた惑星も含まれます。スーパーWASPによって発見された惑星は、太陽系外[[惑星]]エンサイクロペディアやNASA Exoplanet Archiveなどのデータベースに記録されています。

惑星発見数の推移

スーパーWASPは、長年にわたり多くの惑星を発見してきました。各年の新規発見数と累計発見数の推移は、プロジェクトの成果を示す重要な指標となっています。観測技術の向上とデータ解析の進歩により、今後もさらに多くの惑星が発見されることが期待されます。

褐色矮星

スーパーWASPは、5個の褐色矮星を発見しています。これらの天体は、惑星と恒星の中間的な性質を持ち、天文学的な研究対象として注目されています。

関連事項

スーパーWASPの観測活動に関連する情報として、以下の項目も参照ください。

太陽系外[[惑星]]の一覧
ロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台
南アフリカ天文台

出典

スーパーWASPの観測データは、主に以下の情報源を基にしています。

太陽系外[[惑星]]エンサイクロペディアの惑星データ表
NASA Exoplanet Archive

外部リンク

スーパーWASPの公式サイトや関連情報を掲載しているサイトを紹介します。

SuperWASP primary website
SuperWASP-South live status
BBC News report: Planets have scientists buzzing
Ten New Planets from SuperWASP

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