WHO分類

WHO分類（ダブリューエイチオーぶんるい）について

WHO分類は、ヒトの腫瘍の組織型を国際的に標準化するための規約です。この分類法は、世界保健機関（WHO）の下部組織である国際がん研究機関（IARC）によって策定され、がんの予防や治療における統一的なガイドラインを提供しています。IARCは、腫瘍性疾患の発生状況を世界的に把握し、診断法や治療成績の比較研究を行うために活動しています。

腫瘍性疾患は国によりその病理診断基準が異なり、これにより国際的な比較研究が難しくなります。そのため、各国の腫瘍病理や腫瘍遺伝学の専門家が集まり、標準的な腫瘍の分類法の策定が行われるのです。この作業は定期的に実施されており、成果は病理アトラスとして出版され、各国に有償で提供されています。このアトラスはその装丁が青いことから「ブルーブック」とも呼ばれています。

WHO分類の特徴は、腫瘍ごとの病理学的分類の標準化です。これにより、各腫瘍に対してICD-Oに基づくコード番号が制定され、国際的な研究や報告の際に分類が容易になります。さらに、最新のWHO分類に基づくことが、国際的な医学雑誌に論文を投稿する際の推奨事項となっています。

その他の分類法

WHO分類に加え、米軍病理学研究所（AFIP）なども独自の病理組織分類を持っています。AFIPは腫瘍病理のアトラスシリーズを刊行し、その内容の質や価格によって高く評価されています。第二次世界大戦直後に始まったこのシリーズは、現在に至るまで多くの研究者に利用され続けています。

また、国際対がん連合（UICC）が定めたTNM分類も腫瘍分類の重要な要素です。日本においては、臓器別に「癌取扱い規約」が策定され、臨床医や病理医が集まって作成された標準化された基準が用いられています。この規約は、各臓器ごとの腫瘍性病変の記載法や検索法を統一することを目的としています。時折改訂が行われ、WHOやAFIPの分類に基づき見直しもされています。

WHO分類の出版物

WHO分類に基づいて出版された代表的な書籍には、以下のようなものがあります：

• - Pathology and Genetics of Tumours of the Central Nervous System 第4版 (ISBN 9789283224303)
• - Pathology and Genetics of Tumours of the Digestive System 第4版 (ISBN 9789283224327)
• - Pathology and Genetics of Tumours of Soft Tissues and Bone (ISBN 9283224132)
• - Pathology and Genetics of Tumours of the Breast and Female Genital Organs (ISBN 9283224116)
• - Pathology and Genetics of Tumours of the Lung (ISBN 9283224183)

これらの出版物は各臓器ごとの腫瘍に関する詳細な情報を提供しており、医療関係者にとっての重要なリソースとなっています。

参考文献

WHO分類に関する詳細は、次のリンクを参照してください。

• - WHO Classification of Tumours
• - Armed Forces Institute of Pathology (AFIP)
• - College of American Pathologists (CAP)

WHO分類は、腫瘍病理学における国際的なスタンダードを提供し、今後の研究や臨床における重要な指針として機能していきます。

もう一度検索