WWE・ハードコア王座

WWEハードコア王座：混沌と笑劇の王座物語

WWEハードコア王座は、プロレス史上に燦然と輝く、異色の王座でした。その誕生から消滅まで、数々の伝説と逸話を刻み込み、多くのファンを魅了しました。本稿では、この混沌とした王座の歴史を紐解き、その魅力に迫ります。

誕生秘話と混沌の始まり

WWEハードコア王座の誕生は、ミック・フォーリー演じるマンカインドとビンス・マクマホンという、WWEを代表するレジェンドたちの絡みから始まりました。ビンスが自ら製作したベルトをマンカインドに授与したことが、その始まりです。興味深いことに、このベルトは、かつてハルク・ホーガンが王者だった時代にミスター・パーフェクトが破壊し、ガムテープで応急処置されたものだったと言われています。

最初の防衛戦は、ケン・シャムロックを相手に、なんとタキシード姿で挑んだマンカインドが見事勝利を収めました。ビッグ・ボスマンの援護もあったものの、この試合からハードコア王座の予測不能な展開が予感されました。

24時間365日、どこでも王座戦！

2000年2月24日、当時王者だったクラッシュ・ホーリーの「24時間365日、いつでもどこでも誰でも相手になる」という衝撃発言をきっかけに、ハードコア王座は、文字通りいつでもどこでも挑戦可能なルールへと進化しました。このルールによって、チャンピオンは常に緊張感の中で生活することとなり、数分、数秒で王座が入れ替わるという、前代未聞の事態も発生しました。

ショッピングモールや駐車場など、リング外での王座戦も日常茶飯事。コミカルな要素満載の試合展開は、多くのファンを沸かせました。この点は、後年DDTプロレスリングのアイアンマンヘビーメタル級王座にも受け継がれることになります。

さらに、この王座は男女の垣根を越え、トリッシュ・ストラタスやモーリー・ホーリーといった女性レスラーも獲得。その多様性も、ハードコア王座の魅力の一つでした。

ECW勢の合流と王座の終焉

元ECWの選手たちがWWEに合流したことで、ハードコア王座戦線はさらに活性化。多くのハードコアなレスラーたちが、この王座を巡って激闘を繰り広げました。

しかし、2002年8月19日、RAWのGMエリック・ビショフが、インターコンチネンタル王座との統一を宣言。そして8月26日、IC王者のロブ・ヴァン・ダムがハードコア王者のトミー・ドリーマーを破り、ハードコア王座は歴史に幕を閉じました。

そして、レガシーへ

現在は、初代王者であるミック・フォーリーがハードコア王座を永久保持しています。しかし、その精神は、2019年5月20日の『ロウ』で発表された24/7王座に受け継がれ、新たな混沌の時代が幕を開けました。

ルールと特徴

ハードコア王座のルールは非常にシンプルで、かつ過激でした。凶器攻撃などの反則は一切なし。リング上だけでなく、観客席や会場外であろうと、どこでも決着をつけることが可能でした。ただし、レフェリーによる3カウントが、王座交代の正式な条件でした。このルールこそが、ハードコア王座の自由奔放で予測不能な試合展開を生み出した源泉と言えるでしょう。

まとめ

WWEハードコア王座は、その革新的なルールと予測不能な展開、そして数々の伝説的なレスラーたちによって、プロレス史に燦然と輝く王座となりました。その混沌とした歴史と、24/7王座への系譜は、これからも多くのプロレスファンを魅了し続けることでしょう。

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