Windows Explorer

Windowsエクスプローラー：ファイル管理とOSシェルの進化

Windowsエクスプローラーは、Microsoft Windowsオペレーティングシステムにおけるファイル管理とユーザーインターフェースの中核を担うソフトウェアです。かつては「Windowsエクスプローラー」と呼ばれ、Windows 95とWindows NT 4.0で初めて導入されました。単に「エクスプローラー」や「Explorer」と呼ばれることも多く、ファイルシステムへのアクセス、デスクトップ環境の表示、アプリケーションの起動など、多岐にわたる機能を提供しています。

シェルとしての役割

エクスプローラーは、Windowsのシェルとして機能します。これは、タスクバー、デスクトップ、スタートメニューといったユーザーインターフェース要素を管理し、システム全体を制御するための基盤となることを意味します。通常、Windowsの起動と同時にエクスプローラーも起動し、デスクトップの表示、アプリケーションの起動、ファイルの操作、システムの再起動やシャットダウンといった基本的な操作を提供します。レジストリの変更によって、エクスプローラー以外のシェルを使用することも可能です。

ファイル管理機能

多くのユーザーにとって、エクスプローラーといえば、フォルダツリーとファイル一覧を表示するファイル管理機能を指します。Windows XP以前は、左側にフォルダツリー、右側にファイル一覧が表示されるのが一般的でした。左側のペインは「エクスプローラーバー」と呼ばれ、フォルダの階層構造の閲覧、ファイル検索、インターネットブラウザの履歴やブックマークの表示なども行えました。

Internet Explorerとの統合と分離

Internet Explorer 4.0以降、Windows 95/98/MeそしてWindows XPまでは、WindowsエクスプローラーとInternet ExplorerがOLE（オブジェクトリンキングアンドエンベディング）を共有していたため、互換性が高まりました。エクスプローラーでURLを入力してWebサイトにアクセスしたり、Internet Explorerでフォルダパスを指定してエクスプローラーを開いたりすることが可能でした。しかし、両者は別々のプログラムであり、一方の終了が他方に影響を与えることはありませんでした。Internet Explorer 7以降では、この統合は解消され、URL入力はデフォルトのブラウザで開かれ、フォルダパス指定はエクスプローラーで開かれるようになりました。

アクティブデスクトップ

Windows 98からWindows XPまでは、「アクティブデスクトップ」機能がエクスプローラーに統合されていました。これは、デスクトップにWebページを貼り付けたり、画像やHTMLを壁紙にしたり、タスクバーにツールバーを追加するなど、デスクトップとWebを統合した機能でした。しかし、セキュリティや独占の問題から、Windows Vista以降では廃止されました。

バージョンごとの進化

Windowsエクスプローラーは、Windowsのバージョンアップに伴い、継続的に進化してきました。Windows 95/NT 4.0ではプログラムマネージャーとファイルマネージャーを統合し、NeXTSTEPのシェルを参考にデザインされました。Windows 98ではネットワークブラウザ機能が追加され、Windows 2000/Meでは検索機能が強化されました。Windows XPではスタートメニューが拡張され、Lunaテーマにも対応しました。

Windows Vista/Server 2008ではWindows Aeroデザインが採用され、インターフェースが大幅に変更されました。検索機能が強化され、パンくずリスト、詳細ペインなどが導入されました。Windows 7/Server 2008 R2ではライブラリ機能が追加され、「エクスプローラー」の表記が変更されました。Windows 8/Server 2012では名称が「File Explorer」となり、リボンUIが採用されましたが、スタートメニューが廃止された点が大きな変更でした。Windows 10以降ではスタートメニューが復活し、タブ機能が追加されるなど、使い勝手が向上しました。

拡張性

Windowsエクスプローラーは、シェル拡張という仕組みによって機能を拡張することができます。シェル拡張はCOMオブジェクトとして実装され、プレビューハンドラ、コンテキストメニューアイテム、ツールバー、シェル名前空間拡張などの形態があります。これにより、特定のファイル形式のプレビュー表示、コンテキストメニューへの項目追加、新しいフォルダビューの追加などが可能になります。.NET Frameworkを用いたシェル拡張も可能ですが、CLRバージョンの競合を防ぐために推奨されていません。

まとめ

Windowsエクスプローラーは、Windows OSを支える重要なコンポーネントです。ファイル管理機能、シェル機能、そして拡張性を備え、長年にわたる進化を経て、現代のユーザーインターフェースに適合した機能を提供し続けています。

もう一度検索