World Wide Name(WWN)とWorld Wide Identifier(WWID)について
World Wide Name(WWN)またはWorld Wide Identifier(WWID)は、
ストレージエリアネットワーク(SAN)において、
ファイバーチャネル(FC)やSerial Attached SCSI(SAS)プロトコルを介して接続されたデバイスを一意に識別するための重要な
識別子です。これらの
識別子は、ネットワーク内で各デバイスを明確に区別し、データの正確なルーティングと管理を可能にします。
WWN/WWIDの構造
WWN/WWIDは、8バイト(64ビット)の数値として表現されます。この数値は、
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)によって定義された形式に従い、以下の2つの主要な要素で構成されています。
1.
IEEE OUI(Organizationally Unique Identifier): 先頭の3バイトは、
IEEEによって各製造業者に割り当てられた一意の
識別子です。これにより、特定の製造業者のデバイスを識別できます。
2.
ベンダーが提供する情報: 残りの5バイトは、製造業者が独自に割り当てる
情報で、通常はデバイスの
シリアル番号やその他の識別
情報が含まれます。
WWN/WWIDの形式
IEEEは、WWN/WWIDのために2つの異なる形式を定義しています。
オリジナルの形式
この形式では、先頭2バイトが `10:00` または `2x:xx` (xは
ベンダー指定)の16進数で始まり、次の3バイトが
ベンダー識別子(
IEEE OUI)となり、最後の3バイトが
ベンダーが指定する
シリアル番号になります。この形式は、
イーサネットの
MACアドレスと同様に、デバイス製造時に組み込まれることを想定しています。これは、デバイスの識別と管理を効率化するために重要な役割を果たします。
新しいアドレッシング方式
この新しい形式では、先頭4ビットが16進数で `5` または `6` で始まり、次の3バイトが
ベンダー識別子、そして残りの4バイトと4ビットが
ベンダー指定の
シリアル番号となります。この形式は、より多くのデバイスを識別できるように、アドレス空間を拡張するために導入されました。
WWN企業識別子(一部)
以下に、いくつかの主要な製造業者とそのWWN企業
識別子(OUI)の例を挙げます。
`00:50:76` - IBM
`00:a0:98` - ネットアップ
`00:60:69` - ブロケード コミュニケーションズ システムズ
`00:05:1E` -
ブロケード コミュニケーションズ システムズ(旧 Rhapsody Networks)
`00:60:DF` - ブロケード コミュニケーションズ システムズ(旧 CNT Technologies Corporation)
`00:E0:8B` - QLogic HBA用の元々の
識別子
`00:1B:32` - QLogic HBA用(2007年から使用開始)
`00:C0:DD` - QLogic FCスイッチ用
`00:90:66` - QLogic(旧 Troika Networks)
`00:11:75` - QLogic(旧 PathScale, Inc)
`08:00:88` - ブロケード コミュニケーションズ システムズ(旧 McDATA Corporation)。WWIDとしては `1000.080` から始まる。
`00:60:B0` -
ヒューレット・パッカード(IntegrityおよびHP9000サーバー用)。WWIDとしては `5006.0b0` から始まる。
`00:11:0A` - ヒューレット・パッカード(ProLiantサーバー用)。旧コンパック。WWIDとしては `5001.10a` から始まる。
`00:01:FE` -
ヒューレット・パッカード(EVAディスクアレイ用)。旧DEC。WWIDとしては `5000.1fe1` から始まる。
`00:17:A4` - ヒューレット・パッカード(MSLテープライブラリ用)。旧Global Data Services。WWIDとしては `200x.0017.a4` から始まる。
`00:60:48` - EMC(Symmetrix用)
`00:60:16` - EMC(CLARiiON用)
これらの識別子は、ストレージネットワーク内の機器を正確に識別し、効果的なデータ管理とネットワーク運用を支える上で不可欠です。
関連技術
ファイバーチャネル (Fibre Channel): SANで高速データ転送を実現するための技術。
Serial Attached SCSI (SAS): サーバーとストレージデバイスを接続するためのインターフェース規格。
外部リンク
Guidelines for Fibre Channel Use of the Organizationally Unique Identifier (OUI)
*
IEEE OUI list
これらのリンクは、WWN/WWIDの技術的詳細や、
IEEE OUIのリストを参照するのに役立ちます。