テープライブラリ

テープライブラリとは

テープライブラリは、大規模なデータストレージソリューションとして、1台以上のテープドライブ、数千から数万個のテープカートリッジを格納するスロット、そしてカートリッジを自動的に出し入れするロボット機構を備えた外部記憶装置です。テープサイロ、テープロボット、テープジュークボックスとも呼ばれます。最小構成では、ロボット機構と1台のテープドライブのみを持つオートローダーと呼ばれるものもあります。

特徴と用途

テープライブラリの最大の特徴は、その大容量データ格納能力です。現在（2015年時点）では、60テラバイトから800ペタバイト以上まで対応する製品が存在し、ハードディスクドライブで構成されるネットワークアタッチトストレージ（NAS）の容量をはるかに凌駕します。価格は小型のもので約1万ドルから、ハイエンド製品では7万ドルから10万ドルを超えるものまであります。

テープライブラリは、カートリッジの移動を伴うため、データアクセスに時間がかかるという欠点がありますが、以下のような利点があります。

コスト効率: ディスクストレージに比べて容量あたりのコストが低く、電力消費量や発熱量も少ない。
体系的なデータアクセス: 大量のデータに対して、効率的かつ体系的なアクセスを提供できる。
容易な拡張性: 空きスロットにカートリッジを追加するだけで、容易に容量を拡張できる。

これらの特徴から、テープライブラリは主にデータのバックアップやアーカイブに利用されています。具体的な利用例としては、以下のようなものがあります。

映画会社などの映像アーカイブ: 大容量の映像データを長期保存。
法令遵守のためのデータ保管: 取引記録などを監査可能な状態で保管。
研究機関における計測データ保管: 大量の計測データを安全に保管。
長期的な記録保管: 重要な記録を半永久的に保存。

また、データの参照頻度に応じて格納場所を分ける階層型ストレージ管理の一部としても利用され、参照頻度の低いデータをテープライブラリに格納することで、ストレージコストを最適化します。

性能指標

テープライブラリの性能を評価する重要な指標の一つがマウント性能です。これは、カートリッジをテープドライブにセットするまでの所要時間を示し、1時間あたりのマウント回数（Mounts Per Hour）や平均移動時間などで定義されます。マウント性能が高いほど、実効的なデータ転送速度が向上します。その他にも、インベントリー時間、カートリッジやドライブの格納数、ロボットや電源の冗長化機能、フレームの拡張性などが重要な指標となります。

バーコードラベル

テープカートリッジにはバーコードラベルが貼付されており、これをスキャンすることで、カートリッジの格納位置を把握し、ソフトウェアに通知します。市販のバーコードラベルを使用できますが、カートリッジ発注時にラベル情報（Volume ID）を指定するラベリングサービスを利用することも可能です。また、専用のソフトウェアを利用して、自作することもできます。

ラベル情報以外にも、メディアタイプを識別するための情報（Media ID）、印字品質、貼り付け位置や向きなどに注意が必要です。異なるメディアタイプのラベルを使用したり、剥がれたラベルを再利用すると、障害の原因となるため、注意が必要です。

ソフトウェアサポート

テープライブラリの運用には、バックアップソフトウェア、階層型ストレージ管理ソフトウェア、LTFS-LE（Linear Tape File System Library Edition）などの専用の管理パッケージが必要です。オープンソースのソフトウェアとして、AMANDA、Bacula、OpenArchiveなどがあります。Linux環境では、mtxコマンドを利用することで、ロボットの操作が可能です。

仮想テープライブラリ

仮想テープライブラリ（VTL: Virtual Tape Library）は、ハードディスクドライブ（HDD）などで構築されたディスクアレイを、仮想的にテープライブラリとして扱えるようにしたものです。これにより、既存のテープシステムを変更することなく、ディスクの利点を享受できます。例えば、ランダムアクセス性能の向上により、ファイル単位でのリストアが可能になったり、テープのメンテナンスが不要になるなどのメリットがあります。

まとめ

テープライブラリは、大容量データを安全かつ効率的に保管するための重要なストレージソリューションです。特にバックアップやアーカイブ用途において、そのコスト効率や拡張性は非常に魅力的です。仮想テープライブラリの登場により、テープシステムの利点を維持しつつ、ディスクの利点を享受できる選択肢も増えています。データの種類や用途に合わせて、最適なストレージソリューションを選択することが重要です。

関連項目

バックアップ
アーカイブ (コンピュータ)
テープドライブ
テープメディア
Linear Tape-Open
IBM 3592
StorageTek tape formats

外部リンク

* IBMテープ・ライブラリー

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