X-4 (航空機)

X-4は、[アメリカ合衆国]]で開発された実験機であり、アメリカ航空諮問委員会]と[[アメリカ空軍によって運用されました。水平尾翼を持たない無尾翼機であり、愛称はバンタム(Bantam)です。ノースロップ社によって2機が製造され、1948年に初飛行しました。主な目的は、無尾翼機の飛行特性に関する実験を行うことでした。

開発の背景

超音速飛行においては、空気抵抗を極力抑えることが重要となります。無尾翼機は水平尾翼などを排除することで、この点において有利であると考えられていました。1940年代当時、衝撃波の発生を避けるためにも水平尾翼を省くことが望ましいという認識がありました。第二次世界大戦中にはドイツのメッサーシュミット Me163が開発され、1945年にはイギリスでデ・ハビランド DH.108の開発が開始されるなど、各国で無尾翼機の研究が進められており、アメリカ合衆国もその流れに乗り、研究を推進することとなりました。

無尾翼機の課題として、遷音速・亜音速域における操縦性と飛行安定性の問題が挙げられます。これらの問題を実験によって検証することが、X-4の重要な役割でした。

機体の特徴

開発・製造は、無尾翼機・全翼機に関心のあったノースロップ社が担当しました。同社は1942年からYB-35、1943年からはXP-79の開発を行っていました。1946年6月11日には、MX-810計画として2機のX-4製造契約が締結されました。

X-4は後退翼を持ち、後退角は40度34分でした。主翼後縁の外側はエレボン、内側はフラップ兼スピードブレーキとして機能しました。2基のターボジェットエンジンを搭載し、インテイクは主翼の付け根に配置されていました。尾翼は垂直尾翼のみで、機体は小型であり、航続時間は45分と短く設定されていました。900リットルの燃料は、胴体および主翼のインテグラルタンクに搭載されました。

試験飛行と結果

初号機は1948年6月に完成し、同年12月16日に初飛行しました。2号機も1949年6月7日に初飛行しています。初号機は故障が多かったため、1950年1月には2号機向けの部品取り機となりました。2号機はメーカーによる20回の試験飛行後、1950年2月に空軍とNACAに引き渡されました。

2号機の試験飛行は1950年8月に開始され、1952年にはエンジンがXJ30-WE-7からJ30-WE-9に換装されました。1954年9月までに82回の試験（飛行中止を含む）が行われ、チャック・イェーガーやアルバート・スコット・クロスフィールドなどがテストパイロットを務めました。

試験の結果、マッハ0.8を超えるとピッチ運動が生じ、安定性が低下し、機首が下向きになりやすい現象が確認されました。この問題に対処するため、バルサ材を用いてフラップ兼スピードブレーキの形状を修正し、常に5度開いた状態に固定しました。この改良は非常に効果的であり、1951年8月からの試験飛行ではマッハ0.9を超えてもピッチ運動は発生しなくなりました。その後、バルサ材を取り外して着陸試験を行ったり、再度取り付けたりするなど、様々な試験が行われました。最後の試験飛行は1954年9月29日に行われました。

試験終了後

試験終了後、初号機はアメリカ空軍士官学校、2号機は国立アメリカ空軍博物館にそれぞれ保管・展示されています。

要目

全長：7.1m
全幅：8.2m
全高：4.52m
自重：2.5t
エンジン：J30-WE-9 ターボジェットエンジン2基（推力7.1 kN）
乗員：1名

参考文献

「Xプレーンズ」,世界の傑作機No67,文林堂 ISBN 978-4893190642
航空ファン別冊 No.32 アメリカ軍用機1945～1986 空軍編 文林堂 雑誌コード 03344-8 1986年

外部リンク

X-Planes at Edwards AFB
Dryden Flight Research Center X-4
* AMERICAN X-VEHICLES An Inventory—X-1 to X-50 NASA資料 2003年

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