X-62 (航空機)

ジェネラルダイナミクス X-62 VISTA (可変安定性飛行中シミュレーターテスト航空機) について

ジェネラルダイナミクス X-62 VISTA（Variable Stability In-flight Simulator Test Aircraft）は、アメリカ空軍の要求に応じ、ジェネラルダイナミクスとカルスパンの共同事業によって、F-16ファイティングファルコンを改造して開発された実験機です。当初はNF-16Dと名付けられていましたが、2021年6月14日に、シミュレーションの自律制御システム（SACS）を搭載したスカイボーグへのアップグレードの一環として、X-62Aに再指定されました。

X-62Aは、テストパイロットの訓練用航空機として、空軍テストパイロットスクールのカリキュラムに組み込まれています。

設計と開発

NF-16D VISTAテストベッド機には、多軸推力偏向（MATV）エンジンノズルが搭載されており、失速後の状態でも機体をより積極的に制御できます。これにより、航空機は優れた機動性を発揮し、従来の操縦翼面では姿勢を変えられないような迎え角でも、ピッチとヨーの制御を維持できます。

NF-16D VISTAは、イスラエル空軍向けに設計された機体をベースとしたブロック30 F-16Dを基にしています。キャノピー後方から胴体にかけて背部フェアリングが設けられている点や、ブロック40 F-16C/Dから派生した重着陸装置が組み込まれている点が特徴です。

フェアリング内には、可変安定装置や試験機器のほとんどが搭載されています。重着陸装置により、通常のF-16よりも高い降下率での着陸をシミュレートできます。このプログラムは、直接音声入力と「仮想HUD」の開発でも注目を集めました。これらの技術は、最終的にF-35ライトニングIIのコックピット設計に組み込まれる予定です。

現在、NF-16D VISTAはアメリカ空軍テストパイロットスクールによって運用され、エドワーズ空軍基地のカルスパンによって整備されています。学生のカリキュラムにおける飛行訓練や、特別な学術プロジェクト、飛行研究などで定期的に使用されています。2021年6月14日以降、VISTAはアップグレード中です。X-62Aをスカイボーグとして運用するために、VISTAシミュレーションシステム（VSS）は、シミュレーションの自律制御システム（SACS）に置き換えられます。この技術の応用例として、自律的に操縦される航空機、あるいは有人航空機のロボットによる僚機としての運用が想定されています。

スペック

乗員: 2名 (パイロット、セイフティ・パイロット)
全長: 14.8 m
翼幅: 9.8 m
全高: 4.8 m
翼面積: 28 m2
翼型: NACA 64A204 (翼根、翼端)
空虚重量: 8,273 kg
総重量: 12,003 kg
最大離陸重量: 19,187 kg
エンジン: ゼネラル・エレクトリック F110 アフターバーナーターボファンエンジン × 1
推力: ドライ時 64.9 kN、アフターバーナー使用時 105.7 kN
最大速度: マッハ 2.0+
航続距離: 5,200 km (370 USガロン増槽 × 3 搭載時)
上昇限度: 15,000 m+
上昇率: 250 m/s
翼面荷重: 431 kg/m2
推力重量比: 1.095

脚注

関連項目

ジェネラル・ダイナミクス F-16 ファイティング・ファルコン
ジェネラル・ダイナミクス F-16XL
ロックウェル・インターナショナル MBB X-31 (類似の役割、構成、時代の航空機)

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