X1 (潜水艦)

X1の概要

X1（えっくすわん）は、イギリス海軍がワシントン条約に基づいて開発した潜水艦です。この艦は、1925年に完成したことで、当時の潜水艦の中で最大のサイズを誇っていました。就役は同年の12月で、建造はチャタム海軍造船所で行われました。

艦形と外観

本艦の外殻は厚さ25mmの鋼鉄製で、主に水密隔壁により10室に分割されています。船体の直径は中央部で最大5.982mに達し、設計上は最深150mまで潜行可能でしたが、実際には110mに制限されました。その外観的な特徴には、艦のデッキ上に設置された連装式砲塔があり、これは13.2cmの速射砲を搭載しています。また、艦首水面下には53.3cmの魚雷発射管が片舷3門ずつ配置されています。

武装

X1の主な兵装には、新設計の「QF Mark I 13.2cm（42口径）速射砲」が装備されていました。この砲は、31.8kgの弾薬を使用し、最大で15,800mの距離に発射可能です。連装式砲塔には2門を搭載し、射界は仰角40度・俯角5度で、左右に150度旋回可能でした。しかし、上部の構造物によって射界が制限されていました。発射速度は毎分6発でしたが、設計上の問題から性能が十分に発揮できなかったとの報告もあります。また、敵艦に対抗するために、6基の魚雷発射管も装備されていました。

機関

本艦の主機関はアドミラリティ式8気筒ディーゼル機関で、2400馬力の出力を持つものが2基設置されています。潜航時には、GEC式電気モーターが推進装置として機能しました。設計目標は8000馬力でしたが、実際の公試では7135馬力という結果でした。

艦歴

X1は1925年12月に正式に就役し、翌1926年には海軍に編入されました。その後、ジブラルタルまでの航海中に駆動系の損傷を受け、修理を経て地中海艦隊に加わりました。1928年には右舷側の推進軸を損傷し、マルタ島で新しいギアボックスに交換しましたが、その後も同様のトラブルが発生しました。

艦内は狭く、快適とは言えない居住空間でした。これは、弾薬庫や機関スペースを優先的に設計したためです。また、換気の問題もあり、湿度や空気の質に関する不満が多く寄せられました。歴代の艦長たちは、メインおよびサブ機関の維持に苦労していたと報告しています。

1936年12月にはX1は解体処分され、その歴史に幕を閉じました。X1の技術的な特長や艦歴は、イギリス海軍の潜水艦技術の進化を示す貴重な資料となっています。

参考図書

• - 「Conway All The World's Fighting Ships 1922-1946」（Conway）

関連項目

• - イギリス海軍艦艇一覧
• - M級潜水艦
• - スルクフ (潜水艦)

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