XBase

xBaseとは

xBaseは、アシュトンテイトのdBASEから派生したプログラミング言語の総称で、dBASEの「クローン」とも呼ばれます。その起源は、Wayne Ratliffが開発したVulcanという言語に遡りますが、多くのxBaseクローンは1986年のdBASE III+をベースにしています。

xBaseは、BASIC言語に似た簡潔なキーワードで構成された関数や命令群を持ち、小規模な事務処理を短期間で実現できるのが特徴です。経験の浅い技術者でも、ソートや条件分岐、単純な加算などの機能を使って、大量のデータ集計を比較的容易に行うことができます。

名称の由来

アシュトンテイトはdBASE関連の技術を独占していたため、「クローン」製品を開発するベンダーとの間で多くの訴訟が発生しました。その結果、アシュトンテイトが"dBASE"を商標登録し、クローンベンダーは"dBASE"という名称を使用できなくなりました。そのため、"dBASEまたはdBASE風"という意味で"xBase"という総称が使われるようになりました。

他にも、"base"（スターベース、Vulcanから連想されるスタートレックにちなんだ名称）や、商標との違いを明確にするための"X-base"という表記も提案されましたが、一般的には広まりませんでした。

標準化への動き

1987年頃までに、dBASEの多様なクローンが次々と登場しました。各クローンは独自の言語機能や構文を備えていたため、ある製品で作成したコードを別の製品で動作させるのが困難でした。一方、C言語やCOBOLは公式の標準規格が存在し、高い移植性を実現していました。

dBASE言語の標準化を求める声は大きかったものの、dBASEに関する全ての権利をアシュトンテイトが保有していたため、標準化はなかなか進みませんでした。しかし、1991年にボーランドがアシュトンテイトを買収したことで、状況は一変しました。

ボーランドによる買収後、ANSIの委員会（ANSI/X3J19）が正式に設立され、1992年から定期的な会合が開催されるようになりました。最初の議長はMarc Schnappが務め、VulcanとdBASE IIが生まれたジェット推進研究所で最初の会合が開かれました。その後数年間、様々な場所で会合が開かれ、各ベンダーの代表が参加しましたが、標準化の必要性は認めつつも、各社が自社製品の仕様を他社のものに合わせようとしなかったため、標準化は難航しました。

転換点

1993年、Sybex, Inc.はSheldon M. Dunnの著書『Xbase Cross Reference Handbook』を出版しました。この書籍は、dBASE III+、dBASE IV、FoxPro for DOS、FoxPro for Windows、FoxPro for Macintosh、Clipper 5.1など、主要なxBase言語の仕様を比較参照できるものでした。

1352ページにも及ぶ大著でしたが、xBaseコミュニティが抱えていた問題点を浮き彫りにし、オールインワンのリファレンスを提供したことで、各ベンダーはマニュアルを整理し、コマンドや関数などを分冊化しました。1993年は、ベンダーが整理されたという意味でも転換点となりました。

この時期には、dBASEがアシュトンテイトからボーランドに売却され、マイクロソフトがFoxProをFox Softwareから引き継ぎました。ボーランドはQuickSilverも買収し、dBASEのWindows版の開発に利用しました。1994年には、ボーランドがdBase V for WindowsとdBASE V for DOSを開発した後、dBASEの名称と製品をdBASE Inc.に売却しました。

近年では、xBaseのオープンソース実装が登場し、新たな展開を見せています。最近のデスクトップ型データベースツールはマウスとGUIを前提としているのに対し、xBaseはキーボード操作を重視しており、スクリプト化やメタプログラミング（自動化）が容易です。xBaseは現在でも利用可能な数少ないテーブル指向スクリプト言語の一つです。

現在利用可能なxBase製品

2006年4月現在、xBaseは大幅に拡張されたものが各種プラットフォームで利用可能です。HTMLクライアント、ASPサーバ、Windows Script Host、独立型インタプリタなどの環境で動作するものもあります。

商用製品:

Clipper、Visual Objects (Windows 32)、Vulcan.NET (GrafxSoft)
dBase (dBASE Inc.)
FlagShip (multisoft GmbH)
Recital (Recital Corp.)
Visual FoxPro (Microsoft)
xBase++ (Alaska Software)
xHarbour Builder (xHarbour.com Inc.)
DBF Viewer 2000 (HiBase Group)

フリー製品:

CLIP
Harbour Project
xHarbour

外部リンク

GrafX Software: Vulcan.NET Xbase language for Microsoft .NET
NTK Project: WIN32 Gui Framework for (x)Harbour, Clipper and Clip4Winとの互換性あり
Xbase ( & dBASE ) File Format Description
Xbase Appreciation - ウェイバックマシン（2000年5月31日アーカイブ分）
Oasis Web Site: Clipper、FoxPro、[x]Harbour、xBase++に関する開発コミュニティサイト
MSDN Visual FoxPro Home

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