XMDF(ever-eXtending Mobile Document Format)とは
XMDFは、
シャープが開発した
電子書籍技術および
フォーマットです。1999年に
シャープのザウルスやPC向けの
電子書籍フォーマットとして登場し、2001年に正式に提唱されました(XMDF1.0)。
XMDFの特徴
XMDFの最大の特徴は、日本語の書籍特有のレイアウトを忠実に再現できる点です。ルビや段組を崩すことなく表示できるため、
小説や辞書などのテキスト主体のコンテンツから、図版入りの実用書、
漫画、さらには
新聞紙面まで、幅広いジャンルのコンテンツを扱うことができました。
XMDFの普及
2005年頃からは、
シャープ製電子辞書(Papyrus・Brain)の辞書データ全体がXMDF形式に移行し、
シャープ製携帯電話にも辞書機能としてプリインストールされるなど、広く普及しました。
2006年には、携帯電話でのコミック向けに、音や振動などの機能を追加したXMDF2.0がリリースされました。2009年2月には、国際標準(IEC62448 Ed.2 Annex B)として認定され、国際的な規格となりました。
次世代XMDFとプラットフォーム展開
2010年には、「次世代XMDF」(XMDF3.0)が提案され、
シャープの
電子書籍ストア「
GALAPAGOS」の展開が開始されました。さらに、ソニー、KDDI、凸版印刷、朝日
新聞社が設立した
ブックリスタや、NTTドコモと大日本印刷の合弁会社である2Dfactoも、XMDFを採用しました。また、同年度には一般社団法人日本
電子書籍出版社協会が推進する「
電子書籍交換
フォーマット標準化プロジェクト」の基盤としても採用されました。
一方で、
携帯コミックコンテンツプロバイダの多くは、
ボイジャーが開発した.Book
フォーマットを基盤としたビューワーを多く採用しており、一部の
電子書籍ビューワーでは.BookとXMDFが併存する状況となりました。
2011年4月22日には、
シャープが次世代XMDF制作ツールの無償提供を開始しましたが、2015年頃には、閲覧端末の
スマートフォン・タブレットへの移行に対応しきれなかったことや、
Amazon Kindleの日本市場への参入などにより、XMDFは衰退し始めたと評価されています。
XMDFの課題
XMDF
フォーマットでの
電子書籍出版には、
シャープへの規格利用料の支払いが必要となる点が、無償で利用できるePubなどのオープンな規格との違いとして挙げられます。
XMDFを採用している電子書籍プロバイダ
- - GALAPAGOS (TSUTAYA GALAPAGOS) - シャープ Space Town ブックスを併合
- - ブレーンライブラリー - シャープの電子辞書 Brain 専用の電子書籍マーケット
- - 電子文庫パブリ
- - 電子書店パピレス(コンテンツにより.book、ePubと併用)
- - eBookJapan
- - ビットウェイ・ブックス
- - honto(旧:ウェブの書斎) - 2Dfacto
- - ブックリスタ- Reader Store、LISMO BOOK Store【2016年4月30日終了】、Raboo【2013年3月31日終了】
- - フランス書院 直販(ダウンロード販売)
- - ウェブマネーABCD【2019年1月31日終了】
XMDFビューワー「ブンコビューア」
シャープが提供するXMDF
フォーマットコンテンツの閲覧ソフトとして、Windows PC、Zaurus、HandheldPC・Windows CE、
Pocket PC、PalmOS用などが提供されていました。
NetWalkerでは「電子ブックリーダー」という名称で配布されていました。
XMDF対応ビューワー「book-in-the-box」
シャープのDRM(著作権保護機能)を組み合わせたXMDF対応ビューワーで、2012年7月にAndroid用アプリが公開されました。これは、
シャープの電子書店「
GALAPAGOS STORE」(後の「cocoro books」)で提供されていた「
GALAPAGOS App」をベースにしており、複数の電子書店のコンテンツを一元管理できることが特徴です。メーカーはこれを「
電子書籍の配信ソリューション」と位置づけています。
2019年時点では、Android、iPhone・iPad、WindowsPC用の三種類のアプリが提供されており、XMDF2.0、XMDF3.0、
EPUB (Open Manga Format)、
EPUB3、ドットブック(.book、ただしWindowsPC用は非対応)の
フォーマットに対応しています。
関連項目
外部リンク