XP-77 (航空機)

XP-77: ベル社による木製戦闘機の開発史

XP-77（Bell XP-77）は、第二次世界大戦中、アメリカのベル社によって設計された木製の戦闘機です。この機体は、陸軍航空軍に提出されたものの、開発は試作段階で終わりました。その背景には、当時の戦況や材料の不足、さらには性能の問題が影響しています。

開発の契機

1940年代初頭、日本軍の零式艦上戦闘機の優れた運動性がアメリカ軍にとって大きな脅威となり、アメリカは軽量で機動性の高い戦闘機の必要性を感じていました。また、航空機製造における軽金属素材の不足も懸念されました。こうした背景から、木製の戦闘機XP-77の開発が計画され、ベル社がその任を担うことになりました。

設計と性能の目指し

1941年10月に開発が始まると、ベル社は木製の構造を持ち、金属の外板を張った3車輪式の小型の機体を提案しました。機体は層流翼を備え、ターボ過給器付のXV-770-9エンジンを搭載し、最大速度は660km/hとされました。陸軍航空軍は1942年に25機の発注を行いましたが、エンジンの開発が思うように進まず、過給器なしのXV-770-7エンジンを搭載することになり、発注機数もわずか6機に減少しました。

進行過程と開発の終息

開発が進む中で、当初の目標とされた性能を達成することが困難であることが明らかになり、また、戦略物資の不足に対する懸念も薄れたため、軍は計画の規模を縮小しました。1942年8月には試作機が2機にまで減らされてしまいました。

初飛行は1944年4月に行われましたが、その結果は期待外れでした。試作1号機は、エンジンの出力不足や機体の重量増から、最高速度531km/hという結果に終わりました。さらに、飛行中の安定性や視界不良、エンジン振動の問題も報告され、テストの評価は不良でした。

続いて試作2号機が1944年10月に墜落事故を起こし、その結果、契約は1944年12月にキャンセルされ、XP-77の開発はこの2機で終了する運びとなりました。

他の試作機との関連性

XP-77の開発コンセプトとしては、高出力エンジンを短い機体に搭載し、スピードと機動性を兼ね備えた小型軽量戦闘機というものでしたが、同様の理念で他にもダグラスのXP-48やタッカーのXP-57が設計されました。これらの機体も重量的な制約やエンジン性能不足に悩まされ、十分な性能を得られずに開発が中止されました。

航空機の生産状況が全体として好調であったため、木製戦闘機の必要性はほとんど消失しました。

武装と仕様の変更

さらに、XP-77はアメリカ戦闘機には珍しく、20mm機関砲を“モーターカノン”方式で搭載する予定でしたが、要求仕様の変更に伴い機関砲の搭載もキャンセルされました。その結果、搭載可能な爆弾やその他の装備に最大300ポンド（約136kg）の重量を振り分けることが期待されていました。

結論

XP-77は、木材を主成分として開発され、戦局の変化や技術的な制約からその役割を全うすることができずに終息を迎えました。戦闘機の種類としての試みは評価されるものの、実用面では課題が多く、航空機の新技術の進展に取り残された結果となりました。

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