Xiaomi

Xiaomi（シャオミ）とは

Xiaomi Corporation（シャオミ、中国語: 小米集团）は、2010年4月6日に雷軍（レイ・ジュン）によって設立された、中華人民共和国北京市に本社を置く総合家電メーカーです。創業当初はスマートフォンメーカーとして知られていましたが、現在では幅広い家電製品や電気自動車（EV）の開発・製造も手掛けています。

「Just For Fans」（中国語: 為發燒而生）をキャッチコピーに掲げ、ユーザーとの密なコミュニケーションを重視する姿勢が特徴です。

スマートフォン事業

2011年8月16日、初のスマートフォン「小米手機（MI-One）」を発表し、その高いコストパフォーマンスで市場に衝撃を与えました。その後も、ハイスペックながらも価格を抑えたスマートフォンを次々と投入し、グローバル市場でアップルやサムスンに次ぐシェアを誇るまでになりました。

特に、ライカのカメラを搭載した「Xiaomi 14 Ultra」は、その高価格帯モデルでありながら、「中国製のスマホは安くて低性能」というイメージを覆しました。日本市場でも積極的に展開し、ユーザーの支持を集めています。

電気自動車（EV）事業

2024年3月28日には、初の電気自動車（EV）「SU7」を発表し、発売後わずか27分間で5万台、24時間で8万8898台の予約が入るという驚異的な記録を達成しました。上位車種「MAX」は、最高速度時速265キロメートル、停止から時速100キロメートルまでの加速時間は2.78秒と、テスラの高級車種「モデルS」を上回る性能を誇ります。航続距離も800キロメートルと長く、EV市場においても注目を集めています。

Xiaomiの歴史

創業と初期の成長

元キングソフト（金山軟件）会長兼CEOの雷軍が、2010年に8人の共同創業者と共にXiaomiを設立しました。創業メンバーの平均年齢が45歳であったことは、当時の中国のベンチャー企業としては異例でした。社名の由来は雑穀（粟）であり、登記担当者に農業関連企業と誤解されたという逸話も残っています。

2011年にAndroidベースのスマートフォン「MI-One（小米手機）」を発売して以降、年間に1機種のみを大量生産することで、ハイエンドながらも価格を抑えるという戦略を取りました。この戦略がネットの口コミで広がり、若者を中心に支持を獲得し、創業から4年後の2014年には、中国市場でAppleを抜き、シェア1位に躍り出ました。その勢いは中国国内にとどまらず、世界市場でもサムスン、Appleに次ぐ大手スマホメーカーとなりました。

マーケティング戦略

Xiaomiは創業当初からAppleを強く意識したマーケティング戦略を展開していました。自社サイト主体の販売方式、デザイン性の高いハイスペック端末を単一機種のみで販売するスタイル、オンラインコミュニティを重視するなど、その戦略は「中国のApple」と称されるほどでした。

ユーザーを重視する姿勢は、「米粉（ミィファン）」と呼ばれるファンクラブの存在に表れています。ネットコミュニティだけでなく、定期的にユーザーイベントを開催するなど、ファンとの交流を大切にしています。創業者である雷軍は「米神」と呼ばれ、熱狂的な人気を集めています。

Xiaomiの成功により、多くの携帯電話メーカーがAppleを模倣するようになりました。特に、オンライン販売に特化し、流通コストを削減することで、高品質な製品を低価格で提供するビジネスモデルは、Amazonと同様の手法で利益を得るというものでした。

総合家電メーカーへの転換

2016年ごろから、Xiaomiはスマートフォンメーカーから総合家電メーカーへと転換を図り始めました。スマホ関連アクセサリに加え、タブレット、ノートPC、スマートテレビ、空気清浄機など、幅広い製品を開発・販売しています。

モノのインターネット（IoT）時代を見据え、「米家（MIJIA）」グループを形成し、電動バイクや炊飯器など、家電製品のラインナップを拡充。2017年には、家電見本市CESに初出展し、総合家電メーカーとしての地位を確立しました。

世界的な成長と変化

2013年以降、中国国内ではHuawei、OPPO、VIVOなどがXiaomiと同様の戦略で成長し、競争が激化しました。Xiaomiは、中国国外への進出を始めると同時に、ネット専売から家電量販店への出店や、ハイエンド機からローエンド機への展開など、戦略の転換を迫られました。

2014年からのインド市場でのテコ入れが成功し、2018年にはスマートフォンの年間出荷台数が1億台を突破するなど、グローバル企業として成長を続けています。

日本市場への展開

Xiaomiは、2019年12月に日本市場へ正式参入しました。自社でSIMフリースマートフォンを販売する他、KDDI（au）、ソフトバンク、楽天モバイルなどのキャリア向けにもスマートフォンを提供しています。

日本市場では、「Mi Note 10」などのスマートフォンだけでなく、スマートバンド、スマートウォッチ、ワイヤレスイヤホン、スマート家電など、幅広い製品を展開しています。2024年第2四半期には、日本市場での納入台数シェアが6％に達し、Apple、Googleに次ぐ第3位となりました。

販売ルート

Xiaomi製品は、自社のオンラインストアや直営店「小米之家（シャオミ・ハウス）」で購入できるほか、Amazon.co.jpなどでも購入可能です。しかし、模倣品や転売品も存在するため、購入店には注意が必要です。

日本での展開製品

スマートフォン

Xiaomi シリーズ：Mi Note 10, Mi 11 Lite 5G, Xiaomi 11T, Xiaomi 12T Pro, Xiaomi 13T Pro, Xiaomi 14 Ultra など
Redmi シリーズ：Redmi Note 9S, Redmi Note 10T, Redmi 12 5G, Redmi 13 Pro 5G など
POCO シリーズ：POCO F4 GT, POCO F6 Pro など
KDDI（au）向け：Mi 10 Lite 5G, Redmi Note 10 JE, Redmi 12 5G, Xiaomi 13T, Redmi Note 13 Pro 5G
ソフトバンク向け：Redmi Note 9T, Redmi Note 10T, Xiaomi 12T Pro, Xiaomi 13T Pro
楽天モバイル向け：Redmi Note 11 Pro 5G

スマートバンド/スマートウォッチ

Mi Smart Band シリーズ
Xiaomi Smart Band シリーズ
Mi Watch シリーズ
Redmi Watch シリーズ
Xiaomi Watch シリーズ

ワイヤレスイヤホン

Mi 完全ワイヤレスイヤホン 2 Basic
Redmi Buds シリーズ
Xiaomi Buds シリーズ

スマート家電等

掃除機、テレビ、スマートスピーカー、スマートカメラ、キッチン用品、ペット用品、季節用品、モバイルバッテリー、ライト、文房具、充電器、マウス、スーツケース、ファッション・バッグなど幅広い製品を展開

電気自動車（EV）

Xiaomi SU7シリーズ（2024年3月発売）

問題・不祥事

過去には、就職説明会での差別発言、原爆を揶揄した宣伝動画、ユーザーデータの無断送信、特定の言葉の検出・検閲機能など、いくつかの問題や不祥事が報告されています。これらの問題に対し、Xiaomiは謝罪や再発防止策を講じています。

米国からの投資規制

2021年には、米国国防総省がXiaomiを中国軍事企業リストに追加しましたが、その後、連邦地裁の判断により、投資規制は一時差し止められました。最終的に、Xiaomiはリストから除外されることで合意しました。

まとめ

Xiaomiは、スマートフォンからスタートし、総合家電メーカー、さらには電気自動車へと事業領域を拡大している、革新的な企業です。高コストパフォーマンスな製品と、ユーザーとの密なコミュニケーションを重視する姿勢で、世界中で多くのファンを獲得しています。今後も、新たな技術や製品の開発を通して、私たちの生活を豊かにしてくれることでしょう。

もう一度検索