YM3812

YM3812: ヤマハのFM音源チップ

YM3812（FM Operator type - L2、OPL2）は、日本の楽器メーカーである[ヤマハ]]が開発したFM音源チップです。これはYM3526]の後継モデルであり、前モデルと電気的および物理的に完全な後方互換性を持っています。この特性から、YM3812は多くの機器において[[YM3526からの置き換えが容易で、その影響力は広範に及びました。

概要

YM3526は、1チャンネルにつき2つのオペレータを使用して音色を生成しますが、その際のアルゴリズムは直列か並列の2つのパターンのみに制限されていました。さらに、並列使用の場合、1つのオペレータは単なる正弦波を生成するだけとなり、音作りの自由度が限られた状態でした。これに対し、YM3812では原波形の選択肢を4種類に拡大し、シンプルなアルゴリズムでも複雑な変調波を得ることが可能になったのです。

ヤマハのFM音源では、正弦波が内部のROMにテーブルとして格納されており、出力時にインデックスを操作することによって音色の変調が実現されていました。このため、複数の原波形を保持することで波形の切り替えが容易になり、実装コストに対して大きな効果をもたらしました。この技術は以後のFM音源チップにも活かされ、AFM音源やAWM音源へと発展します。また、ヤマハのポータトーンやポータサウンドシリーズのキーボードにも搭載され、高い性能を発揮しています。

採用例

YM3812は、様々なプロダクトに搭載されました。その一例として、1986年にヤマハが発売したキーボード「ポータサウンド PSS-460」と「ポータサウンド PSS-560」があります。また、Ad Lib, Inc.による「AdLib Music Synthesizer Card」というISAバス用サウンドカードもこのチップを1基搭載していました。この製品を契機に、YM3812は「Sound Blaster」などの他のサウンドカードにも組み込まれ、PC用サウンドのデファクトスタンダードとなりました。

また、クリエイティブメディアの「Sound Blaster」シリーズでも採用されており、これによりAdLibと同等の機能に加え、ゲームポートやPCM機能を追加した製品が登場しました。これにより、AdLibは駆逐され、Sound Blasterが新たなスタンダードとなったのです。

YM3812はゲーム業界でも幅広く使用されました。「バブルボブル」などのアーケードゲームは初期ロットでYM3526を使用していたものの、その後、YM3812に置き換えられました。1987年以降の日本物産が製作したいくつかのアーケードゲームや、「飛翔鮫」「究極タイガー」といった東亜プラン製ゲームの一部タイトル、さらにはコナミの「悪魔城ドラキュラ」や「シティボンバー」、さらには「バトランティス」のようなタイトルにも採用されています。

まとめ

YM3812は、その技術革新と互換性の高さから、音楽制作やゲーム開発の現場で大いに活用される存在となりました。その成果はFM音源にとどまらず、後の音源技術においても深い影響を与えることとなったのです。

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