Yahoo!ブックストア

Yahoo!ブックストア：日本の電子書籍黎明期を支えたサービスの歴史

Yahoo!ブックストアは、2003年9月3日に「Yahoo!コミック」としてスタートした、日本の電子書籍サービスのパイオニア的存在でした。当初はWindows PCとInternet Explorerを用いた、漫画専門のサービスでしたが、2011年11月のリニューアルを機に、一般書籍を含む総合電子書籍ストアへと進化を遂げました。

サービス開始からリニューアルまでの歩み

初期のYahoo!コミックは、韓国のPacketMedia社の技術を用いたビューアーを使用しており、著作権保護のため、コピーやパソコンへの保存が不可能な仕様となっていました。対応ブラウザも限られており、Windows PCとInternet Explorer 5以降のみが利用可能でした。2008年にはビューアーのバージョンアップが行われ、Mozilla系ブラウザへの対応が終了しました。

しかし、2011年のリニューアルによって、状況は一変します。EPUB形式の採用、ブラウザ上での閲覧を可能にしたビューアーの導入、iOS/Androidアプリの提供など、ユーザー体験の大幅な改善が図られました。このリニューアルは、電子書籍サービスの利用環境を大きく変え、より多くのユーザーにとってアクセスしやすいサービスへと転換したと言えるでしょう。さらに、2012年にはボイジャーのBinBライブラリを採用し、複数のデバイス間でのコンテンツ閲覧を可能にするなど、利便性向上への取り組みが継続されました。

多様なサービス展開

Yahoo!ブックストアは、電子書籍販売以外にも、様々なサービスを展開していました。代表的なものとしては、無料漫画の配信が挙げられます。2007年1月には『FlexComixブラッド』など、複数のウェブコミック誌を配信開始し、その後も多くの出版社と連携して、様々な作品を無料で提供しました。週刊誌の試し読みなども行われ、電子書籍へのアクセスを促進する役割も担っていました。

また、2013年にはスマートフォンアプリ限定で手塚治虫作品などの全巻無料キャンペーンを実施するなど、ユーザー獲得のための積極的な施策も行われていました。さらに、2014年には電子貸本サービスRenta!との相互連携を開始し、ユーザーはどちらかのサービスに登録するだけで、もう一方のサービスも利用できるようになりました。

Yahoo!ブックストアは、スマートフォン版Yahoo! JAPANトップページや公式アプリにおいて、日替わりで無料コミックを配信する施策も展開。人気作品を期間限定で無料公開し、多くのユーザーに利用されました。配信作品には『るろうに剣心』、『ジョジョの奇妙な冒険』、『DEATH NOTE|DEATH_NOTE』など、人気タイトルが多数含まれており、大きな話題となりました。

定額制サービスへの挑戦

2014年には、講談社との連携による少女漫画の定額制サービス「女子コミ!」を開始しました。月額324円（Yahoo!プレミアム会員は無料）で、多くの少女漫画作品が読み放題になるサービスとして注目されましたが、2018年5月にサービスを終了しています。

サービス統合とその後

Yahoo!ブックストアは、2019年春にebookjapanに統合される形でサービスを終了しました。長年に渡り日本の電子書籍市場を牽引してきたYahoo!ブックストアは、その歴史に幕を閉じましたが、日本の電子書籍サービス発展において大きな足跡を残したと言えるでしょう。そのサービスの進化や多様な試みは、後の電子書籍サービスのあり方に大きな影響を与えたことは間違いありません。

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