Dの食卓

『Dの食卓』について

『Dの食卓』は、株式会社ワープが開発し、三栄書房から1995年にリリースされた3Dアドベンチャーゲームです。最初は3DO用にリリースされ、その後セガサターンやPlayStation、さらには多くのPCプラットフォームに移植されています。監督と脚本は飯野賢治が手がけました。

このゲームは、当時としては珍しい試みを行った作品であり、3DCG技術を用いて映画のような演出を取り入れています。しかし、当時の家庭用ゲーム機のハードウェア性能は限られていたため、実際にはあらかじめ制作された映像を再生する方式が取られていました。彼らの取り組みは評価され、マルチメディアグランプリ'95では通商産業大臣賞を受賞。また、セガサターンとPlayStation版は、ゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」でゴールド殿堂に選ばれ、全世界での販売本数は100万本を記録しています。

ゲームの内容

『Dの食卓』は、一人称視点で進行し、イベントが発生するたびに「インタラクティブ・シネマ」の名の通り、多様なカメラワークを利用してプレイヤーを引き込みます。リアルタイムCGではなく、ムービーシーンと静止画が交互に使用され、移動できるポイントや視界があらかじめ決められています。

プレイヤーは、物語の主人公であるローラ・ハリスを操作し、アイテムを駆使しながら謎を解いていきます。ゲーム内では、母親から受け継いだ「コンパクト」や「時計」などが提示され、これらのアイテムを利用することでヒントを得ることができるものの、コンパクトは使うごとに壊れていく仕掛けです。また、ゲーム中には突然襲いかかる甲冑の騎士のイベントがあり、失敗してもゲームオーバーにはならないというユニークな演出も見られます。このイベントは、後のゲームにも影響を与えており、セガの『シェンムー』に似た要素が取り入れられています。

ストーリー設定

本作のストーリーは1997年のアメリカ・ロサンゼルスを舞台に、総合病院で起こる大量殺人事件から始まります。事件の背後にいるのは、病院の院長リクター・ハリスであり、彼は突如として凶暴化し、患者やスタッフを射殺、立てこもり事件を引き起こします。その様子を受けて、彼の娘であるローラは父を説得しようと病院に向かいますが、異次元空間に引きずり込まれ、彼の精神世界に迷い込むのです。

プレイヤーはローラを操作し、リクターの精神世界である古城からの脱出を目指します。この古城には様々なトラップや死体があふれ、時間制限が設けられているため、プレイヤーは迅速に行動しなければなりません。古城の中で「玉虫」を集めることで、ローラの失われた記憶を取り戻し、ゲームの真のエンディングを迎えることができる仕組みになっています。ゲームの真テーマは、行方不明の母親について父を問い詰めることにあり、物語を通じて家族の絆を探ります。

開発と評価

『Dの食卓』の開発コードは「トランシルバニア」であり、かつて存在したアドベンチャーゲームから影響を受けています。また、セガサターン版やPlayStation版は様々なゲーム媒体から高評価を受け、特にグラフィックの美しさや演出に賛辞が寄せられました。

本作は、ゲームとしての新しい可能性を示した点や、プレイヤーを映画のような体験に引き込む試みが特に評価されています。これにより、3Dアドベンチャーゲームの制作に新しい視点を提供した作品となりました。

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