ExFAT

exFAT（Extended File Allocation Table）

exFATは、マイクロソフトが2006年に導入したファイルシステムで、主にUSBフラッシュドライブやSDカードなどのフラッシュストレージ向けに最適化されています。特に、32 GiBを超える容量を持つSDXCやSDUCメモリーカード、メモリースティックXCの標準ファイルシステムとしても採用されており、データ管理の効率化に寄与しています。

歴史的背景

exFATは、最初にWindows Embedded CE 6.0で導入され、その後デスクトップ環境ではWindows Vista SP1で初めて使用されました。ただし、Windows XPやWindows Server 2003では、更新プログラムをインストールしなければならないため、初期の併用が難しい状況でした。さらに、2019年8月28日にはマイクロソフトがexFATの仕様を公開し、それまでの独占的なファイルシステムからオープンな形式へと移行しました。

マルチプラットフォームでの利用

Appleは2010年にSDXCカードスロット搭載のMac miniやiMacをリリースし、以降のMac OS XバージョンもexFATに対応しています。一方、Linuxプラットフォームでもユーザーコミュニティがパッチを開発し、さらにTuxeraがマイクロソフトと協力してLinux用のexFATドライバを開発しています。これにより、Linuxカーネルへの組み込みが進み、2019年のバージョン5.4において正式にサポートされたのです。

主な特徴

exFATの特長は、従来のファイルシステムに比べた優位性にあります。まず、大容量のディスクサイズに対して高いスケーラビリティを持ち、最大ファイルサイズは264バイト（16EiB）に対応しています。これは従来のFATの最大4GiBから大幅に改良されています。

また、最大クラスタサイズは2255セクタに達し、実際の制限は32MiBです。さらに空き領域ビットマップの導入により、空き領域の管理が効率的に行えるようになりました。1つのディレクトリには最大で2,796,202のファイルを格納できるため、大量のデータを扱う際にもその性能が発揮されます。

加えて、UTCタイムスタンプや、ファイルの修正時刻の精度向上にも対応しており、これによりデータの正確な管理が可能となっています。加えて、ファイルシステムのカスタマイズを可能にするOEM定義のパラメータも用意されています。

課題と制約

一方で、exFATにはいくつかの制約も存在します。Windows VistaのReadyBoost機能はexFATデバイスでは使用できませんが、Windows 7以降では対応しています。また、ライセンスについては不明瞭な部分があり、特許が存在するため、Linuxへの導入には反対の意見もありました。加えて、Windows XPではOSインストール用のファイルシステムとしては利用できません。

DVD-RAMのフォーマットに関してもWindows標準のユーティリティが対応していないため、サードパーティのツールを使う必要があります。

まとめ

exFATは、特にフラッシュストレージデバイスにおいて非常に有用なファイルシステムであり、大容量データを効率的に扱うための機能が多数搭載されています。その特性から、特にモバイルデバイスユーザーにとっては重要な選択肢となっています。

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