Wallet

Apple Wallet（アップルウォレット）

Apple Walletは、Appleが提供するiOSおよびwatchOS向けのモバイルアプリケーションです。かつてはPassbookという名称で提供されていましたが、iOS 9でApple Payとの統合に伴い、Walletに名称変更されました。このアプリは、クーポン、搭乗券、学生証、イベントチケット、公共交通機関の乗車券、ショップカードなど、様々な種類のデジタルカードを保管し、利用するためのものです。

概要

Apple Walletは、2012年6月11日に開催されたWorldwide Developers Conferenceで発表され、同年9月19日にiOS 6と共にリリースされました。当初はPassbookとして提供されていましたが、iOS 9でApple Payとの統合に伴い、Walletへと進化しました。現在では、Apple Cardや車のキーの管理にも利用できる多機能なアプリとなっています。

Walletが利用可能な場合、ウェブサイトや印刷物には「Appleウォレットに追加」のバッジが表示されることがあります。

歴史

Passbookは2012年6月11日に初めて発表されました。その後、2015年6月のWWDCでWalletへの名称変更が発表され、同年9月16日にiOS 9がリリースされるまでの3年3ヶ月5日の間、「Passbook」の名称が使用されました。日本語環境では、2021年9月にリリースされたiOS 15以降、「ウォレット」という表記が定着しています。

2016年9月には、iPhone 7やApple Watch Series 2の日本国内モデルがFeliCaに対応したことで、日本国内でも多くのカードがWalletで利用可能になりました。

機能

Walletでは、Aztec、PDF417、QRコードといった2次元バーコードや、iOS 9以降ではCODE128の1次元バーコードが表示可能です。これらのデジタルクーポンやチケットは「パス」としてまとめられ、初めてWalletを起動した際には簡単な紹介画面が表示されます。App Storeでは、Walletに対応したアプリを検索できます。

パスは、Safari経由でのオンライン配布、メール送信、カメラでのスキャンなどを通して追加できます。また、iCloudを使用してiOSデバイス間で同期され、OS X 10.8.2以降の環境では、iOSデバイスに送信するパスにも対応しています。

主な特徴

バーコード表示: Aztec、PDF417、QRコードの2次元バーコードと、iOS 9以降ではCODE128の1次元バーコードを表示。表示中は画面が明るくなります。
位置情報連動: GPS座標やiBeacon UUIDを設定することで、位置情報に基づいて自動的にパスを起動できます。各パスには最大10カ所の位置情報を設定可能。
時間連動: パスの有効期限や時間に応じて自動的に起動。
多言語対応: 各パスには最大35カ国語を保存可能。
プッシュ通知: パスの変更は発行元からのプッシュ通知や、ユーザー自身による手動更新が可能です。

サードパーティの開発者も、他のオペレーティングシステム向けに同様のアプリを開発しており、Walletパスのインポートと表示に対応しています。Windows Phone 8.1もAppleのパス形式に対応しています。

エコシステム

パスはパッケージとして作成され、関連データと秘密鍵と共に署名されます。PassKit APIを使用することで、パスの更新やiOSアプリとの連携が可能です。2014年後半には、iBeaconを利用した通知機能が小売店で導入され始め、Bluetooth範囲内のスマートフォンのロック画面に通知を出すことができるようになりました。

2015年には、Walletに保存したポイントカードをNFC経由でPOS端末に提示する機能が追加されました。

Apple Pay

Apple Payは、米国ではiOS 9のリリース時から利用可能でしたが、日本ではiOS 10.1以降にサービスが開始されました。これにより、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードをWalletに登録して、非接触決済が利用できるようになりました。

交通系ICカード

交通系ICカードはWalletから新規発行できるだけでなく、手持ちのプラスチックカードから転送することも可能です。駅の改札では、Face IDやTouch IDなしで利用できるエクスプレスカード機能に対応しています。iPhone XS以降の機種では、バッテリー残量がなくなった後も、最長5時間まで予備電力で改札を通過できます。利用明細の確認や残高不足のリマインダー設定も可能です。

Suica: 2016年10月25日に利用可能になり、JR東日本から提供されているアプリでSuicaの管理やチャージ、定期券の購入ができます。Wallet内でのチャージや更新も可能です。
PASMO: 2020年10月6日に対応しました。
ICOCA: 2023年6月27日に対応しました。

電子マネー

日本では、2021年10月21日にnanacoとWAONがWalletに対応しました。WAONアプリでは、ご当地WAONの発行も可能です。

ポイントカード

NFCを使用するポイントカードもWalletで利用できます。日本では、d POINT CARDやPontaカードが対応しています。Pontaカードでは、ローソンでのApple Pay決済時に自動的にPontaカードも適用されるように設定できます。

Apple Account（カード）

Apple Account（旧称：Apple ID）の残高を管理するための仮想のアカウント残高カードです。2022年5月にiOS 15.5で、日本では2023年10月23日にiOS 17で対応しました。この残高は、Apple StoreやiTunes Storeでの購入、アプリやApple Oneなどのサブスクリプションの支払いに使用できます。

Apple Gift Cardの利用の他に、クレジットカードでのオートチャージ設定や、セブン-イレブンやファミリーマートでのレジでのバーコードを提示してのチャージにも対応しました。

ワクチン接種証明

iOS 15では、ヘルスケアアプリを介してCOVID-19ワクチンの接種証明書を表示する機能が追加されました。

脚注

出典

関連項目

モバイル決済
Apple Pay
Google Wallet

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