おおかみ座

おおかみ座（Lupus）

おおかみ座は、現代の88星座の一つで、古代から伝わる星座の一つです。この星座は旧プトレマイオスの48星座にも含まれており、オオカミの姿をモチーフにしています。星座の位置は、さそり座とケンタウルス座の間にあり、特に南半球の星座として知られています。しかし、南端が-55.6°と南天に位置するため、北半球に住む人々にはその全貌を視認することが難しいのが特徴です。

主な天体と特徴

おおかみ座には様々な恒星が含まれています。代表的な恒星としては、2等星のα星を筆頭に、6つの3等星が存在します。具体的には、αからηまでの7つの星は、ギリシア文字のアルファベット順に並べられた明るさを持っています。特に、β・ζを除く5つの星は「上部ケンタウルス・おおかみアソシエーション」と呼ばれるグループに属していると考えられています。2023年の時点で、国際天文学連合（IAU）による固有名が認可されている恒星は存在しません。

α星

おおかみ座のα星は、約465光年の距離に位置する青色巨星であり、見かけの明るさは2.286等です。脈動変光星に分類され、周期は約0.2598466日で、振幅は0.05等級です。これはおおかみ座で最も明るく見える星となります。

β星からη星まで

他にも、β星は383光年の距離にあり、見かけの明るさは2.68等です。γ星は421光年の距離の連星系で、A星とB星が存在します。δ星、ε星、ζ星、η星もそれぞれ独自の特徴を持ち、特にε星は多重星系として知られています。

歴史と由来

おおかみ座の起源は古代メソポタミアにさかのぼります。紀元前3000年紀の記録には、Uridimmuという人頭獣身の生物として登場します。また、6世紀頃の文書には「ウル・イディム」という名が付けられるなど、古代から多様な文化によってその存在が伝わってきました。古代ギリシアやローマでは、ケンタウルス座の中の野生動物を示すアステリズムとして扱われていました。

2世紀には天文学者プトレマイオスにより、野獣を独立した星座として認識され、19個の星を含めた形で星座が確立しました。

ルネサンス期になると、星座の名前が「LVPVS」とされ、狼と捉えられるようになりました。これは1653年に改めて詳細がもたれ、後にIAUにより88星座の一つとして認定されました。

中国での扱い

中国では、この星座が「豺狼座」と名付けられ、異なる星座名で認識されています。18世紀の星表においておおかみ座は二十八宿の一部として配されており、歴史的に見ても重要な位置を占めています。

現代における影響

現在では、おおかみ座はアマチュア天文家による観測対象としても人気がありますが、メシエ天体は含まれていません。一方で、パトリック・ムーアによって選定されたコールドウェルカタログにも対象はありません。しかし、IC 4406という惑星状星雲が存在し、独特の構造から「網膜星雲」とも呼ばれています。

おおかみ座は長い歴史と多くの文化的背景を持っており、今後も星座として親しまれていくことでしょう。

もう一度検索