惑星状星雲

惑星状星雲とは

惑星状星雲とは、太陽のような比較的軽い恒星が、その一生の終わりに赤色巨星となった際に放出するガスが、中心の星から放たれる紫外線によって照らされて輝く天体です。その名前は、望遠鏡で観測した際に、緑がかった円盤状に見えることから、18世紀の天文学者ウィリアム・ハーシェルによって名付けられました。惑星のように見えるものの、実際には惑星とは全く異なる天体です。

惑星状星雲の中心にある星は、「惑星状星雲中心星」と呼ばれ、恒星が白色矮星へと進化する過程にあります。この中心星は、高温で紫外線を強く放射しており、周囲のガスを電離させて発光させる役割を担っています。

スペクトル

惑星状星雲のスペクトルは、主に電離したガスから放射される輝線スペクトルで構成されています。水素やヘリウムのバルマー系列の再結合輝線、そして、窒素や酸素のイオンから放たれる禁制線が特徴的です。禁制線は、非常に希薄なガス環境でのみ観測される特殊な輝線であり、惑星状星雲のガスが極めて希薄であることを示しています。

形成過程

惑星状星雲は、恒星が寿命を迎える際に、以下のようなプロセスを経て形成されます。

1. 赤色巨星の段階：恒星が核融合反応によってエネルギーを使い果たし、外層が大きく膨張して赤色巨星となります。この際、恒星の外層は重力の影響から徐々に離れていき、周囲にガスを放出します。
2. 原始惑星状星雲：放出されたガスは、恒星の周囲に広がり、原始惑星状星雲と呼ばれる状態になります。この段階では、まだガスは中心星の紫外線によって電離されていません。
3. 惑星状星雲の形成：中心核は収縮を続け、高温になり、強い紫外線を放射します。この紫外線が、赤色巨星時代に放出されたガスに吸収されると、ガスは電離して輝き始め、惑星状星雲となります。

代表的な惑星状星雲

数多くの惑星状星雲が観測されており、それぞれ特徴的な形状や色彩を持っています。以下にその代表例を挙げます。

こと座の環状星雲（M57, NGC6720）：リング状に見える美しい星雲で、アマチュア天文家にも人気があります。
こぎつね座の亜鈴状星雲（M27）：ダンベルのような形状をしており、双眼鏡でも観測しやすい星雲です。
おおぐま座のふくろう星雲（M97）：フクロウの顔のように見える星雲で、その複雑な形状が特徴的です。
みずがめ座のらせん星雲（NGC7293）：地球から最も近い惑星状星雲の一つで、らせん状の構造が美しい星雲です。
うみへび座の木星状星雲（NGC3242）：木星のような円盤状に見える星雲です。
みずがめ座の土星状星雲（NGC7009）：土星の環のような構造を持つ星雲です。
ふたご座のエスキモー星雲（NGC2392）：エスキモーの顔のように見える星雲で、中心星の周りの構造が特徴的です。
さいだん座のアカエイ星雲：アカエイのように見える星雲です。

関連事項

惑星状星雲に関連する用語として、以下のようなものがあります。

原始惑星状星雲：惑星状星雲になる前の段階の天体です。
白色矮星：惑星状星雲の中心星が進化の最終段階で到達する天体です。

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