なないろ航路

『なないろ航路』について

『なないろ航路』は、アダルトゲームメーカーJourney（ジャーニー）が製作し、2010年11月26日に発売された恋愛アドベンチャーゲームです。Journeyは有限会社フリーウェイのブランドとして設立された最初の作品であり、その後のブランド展開の礎を築きました。題名のローマ字表記は「Nanairo Kouro」、公式な英語タイトルは「Seven-Colored Waterway」とされています。

発売後、2011年4月30日にはエンターブレインからビジュアルファンブックが刊行されました。この書籍にはISBNコード9784047272781が付与され、価格は2940円（税込）で、ゲーム内のBGM25曲を収録したサウンドトラックCDが付属しており、作品世界をより深く楽しむための資料となっています。

物語の舞台とあらすじ

本作の舞台となるのは、世界中を航海する豪華客船「プリンセスメリー号」の船上に設立された、移動型の全寮制名門女子学園「プリンセスメリー女学園」です。この学園は「国境のない学園」と呼ばれ、世界各国の名家の子女が集まるユニークな環境を誇ります。

物語の主人公、此花朔太は、幼くして両親と離れ離れになり、学校に通えず、貧しい生活を余儀なくされていました。公園の土管で暮らし、日雇い労働で生計を立てるという過酷な日々を送っていましたが、ある日、「縁結びの神様見習い」を名乗る謎の少女、弁財天縁と出会ったことから運命が大きく変わります。縁の不思議な力（と、彼女が誤ってこぼしたという「神様のフェロモン」）の影響もあり、朔太は偶然のきっかけから日本の著名な財閥「飛鳥グループ」の令嬢である飛鳥未来と知り合います。朔太の境遇を知った未来は、彼を自身が通うプリンセスメリー女学園へ入学させることを思いつきます。

当初は男子生徒を受け入れていない学園でしたが、未来の尽力や学園長の温情もあり、朔太は特別に入学を認められます。学園では、ウィンザー王国の王女であるレイチェル・ウィンザー、ヴァーサ公国の公女シャルロット・ヴァーサ、世界的に有名な歌姫の七海遥といった、様々なバックグラウンドを持つ魅力的な少女たちと出会い、親睦を深めていきます。朔太は彼女たちと共に、プリンセスメリー号での船旅を通じて世界各地を巡り、様々な経験を積んでいくことになります。

登場人物

物語を彩る主要なキャラクターたちは、多様な個性を持っています。

此花 朔太（このはな さくた）: 主人公。不遇な環境に育つが、心優しく困っている人を放っておけない性格。運動神経が良い。
飛鳥 未来（あすか みらい）: 飛鳥グループの次期後継者で、学園の生徒兼理事。快活で行動力があり、朔太を学園に招くきっかけを作る。
レイチェル・ウィンザー: 西欧の王女。文武両道に秀でたプライドの高い人物だが、次第に朔太を認めるようになる。
七海 遥（ななみ はるか）: 世界的に名の知れた歌姫。お茶目で人懐っこく、朔太をからかうことも。
シャルロット・ヴァーサ: 北欧の公女。内気で人見知りしがちだが、日本の時代劇が好きという一面も持つ。
弁財天 縁（べんざいてん えにし）: 縁結びの神様見習いを名乗る少女。朔太の運命を変え、妹として学園に転入してくる。

この他にも、個性豊かな生徒や船員、関係者たちが登場し、物語を盛り上げます。

その他の要素と反響

ゲームの音楽はsolfaが担当し、オープニングを含む主題歌5曲を収録したボーカルミニアルバム『なないろ航路 VOCAL MINI ALBUM〜海と青空と歌声と〜』がゲーム発売に先駆けて2010年10月27日にLantisよりリリースされています。

本作は、そのユニークな舞台設定が高い評価を受けました。ゲーム雑誌『BugBug』のレビューでは、豪華客船上で世界を巡る学園という設定が、数あるお嬢様学園ものの中でも異彩を放っていると評されています。また、主人公が「神様のフェロモン」を浴びて異性にモテるという設定や、金と権力でトラブルを解決していく展開が、ご都合主義ながらもむしろ清々しく、素直にハーレム展開を楽しめる点も肯定的に捉えられています。

原画はみけおう、らっこ、成瀬守、さそりがため、高苗京鈴といった複数のイラストレーターが担当し、多様なキャラクターデザインを実現しています。シナリオは雨野智晴、たけうちこうた、桑原文彦（いずれもEDEN'S NOTES所属）が手掛け、物語世界を構築しました。企画は雨野智晴、ディレクターはリリ蔵が担当しています。

『なないろ航路』は、その斬新な設定と、貧しい少年が大富豪の令嬢たちと共に世界を旅するという夢のあるストーリー、魅力的なキャラクターによって、プレイヤーに非日常的な体験を提供する作品と言えるでしょう。

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