ホタルイカ

ホタルイカ（螢烏賊／蛍烏賊）

ホタルイカは、ツツイカ目ホタルイカモドキ科に属する小さなイカの一種で、学名は`Watasenia scintillans`。その名の通り、発光することで知られています。富山県滑川市では「滑川市のさかな」に指定されており、富山湾の春の風物詩として親しまれています。

名称の由来

属名の`Watasenia`は、ホタルイカを最初に命名した生物学者、渡瀬庄三郎に由来します。また、富山の方言では「マツイカ」と呼ばれることがありますが、これはかつてホタルイカが松の肥料として利用されていたことに由来すると言われています。

英語では、その見た目から`firefly squid`（ホタルのようなイカ）と呼ばれたり、主な産地である富山湾にちなんで`toyama squid`と呼ばれることもあります。

分布と生態

ホタルイカは、日本海全域と太平洋側の一部に分布しています。特に、富山湾では数十万匹もの大群が海岸近くまで押し寄せる現象が見られ、世界的にも珍しいとされています。この現象が見られる海域は、特別天然記念物に指定されています。

産卵期は晩春から初夏にかけてで、メスは深海から浅瀬に移動し、数千から1万個の卵を産みます。ホタルイカが発光する理由は、外敵からの威嚇、仲間とのコミュニケーション、餌寄せなど、諸説あります。

発光器は3種類あり、腕の先、皮膚、そして目の周りに存在します。これらの発光器が放つ光は、青白く、また青と緑が混ざった満天の星のような美しさです。

発光の仕組み

ホタルイカの発光反応はまだ完全には解明されていませんが、発光素（ルシフェリン）と発光酵素（ルシフェラーゼ）の化学反応によるものと考えられています。

見学

ホタルイカは春の風物詩として、「富山湾の神秘」とも呼ばれています。大群遊の際には、青緑色の幻想的な光の帯が見られ、「海の銀河」と例えられることもあります。富山湾では、観光船から定置網漁の様子を観察することができます。

また、4月から5月にかけては、発光しながら砂浜に打ち上げられる「ホタルイカの身投げ」と呼ばれる現象が見られることもあります。富山県滑川市には「ほたるいかミュージアム」があり、ホタルイカの生態について学ぶことができます。

利用

ホタルイカは主に食用として利用されます。富山県では古くから食べられており、炒め物、煮物、酢味噌和え、沖漬け、素干し、天ぷらなど、様々な調理法で楽しまれています。近年では、栄養面でも評価されており、ビタミンAやビタミンB12、タウ[[リン]]などが豊富に含まれていることがわかっています。

生食について

ホタルイカを生で食べる場合は、寄生虫（旋尾線虫）に注意が必要です。厚生労働省が指定した方法で処理（-30℃で4日間以上の冷凍など）を行う必要があります。

漁法

ホタルイカの漁期は2月から5月頃で、主な産地は日本海側の兵庫県、富山県、鳥取県、福井県などです。富山湾では定置網漁、兵庫県では底引き網漁が行われています。

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