ほ座

ほ座（Vela）

ほ座は、現代の88星座の1つであり、18世紀半ばに古代ギリシャの星座アルゴ座から派生した新しい星座です。この星座は、大航海時代の航海技術を象徴する船の帆をモチーフとしています。しかし、日本の多くの地域では、その全貌を見ることが難しいのが現実です。

天体の特徴

ほ座は、数多くの明るい星を有しており、特に2等星と3等星が豊富です。国際天文学連合（IAU）によると、2023年6月時点で、7つの恒星には固有名が与えられています。

主な恒星

• - δ星: ほ座の「にせ十字」を形作る2等星であり、連星系を形成しています。主星「アルセフィナ（Alsephina）」は、変光星としても知られ、見かけの明るさは約1.99等から2.43等の範囲で変動します。
• - κ星: 同じく「にせ十字」の一部をなす2等星で、固有名「マルケブ（Markeb）」があります。見かけの明るさは2.473等です。
• - λ星: 赤色超巨星であり、見かけの明るさは2.21等です。「スハイル（Suhail）」という固有名が付されています。さらに、変光星としてもLC型に分類されています。
• - HD 83443とHD 85390は、国際天文学連合のキャンペーンでそれぞれケニアとザンビアに命名権が与えられ、固有名が付けられています。

また、ほ座には他にも、目立つ恒星が多く存在します。たとえば、γ2星は見かけの明るさが1.83等であり、ほ座で最も明るい星として知られています。これは分光連星であり、ウォルフ・ライエ星の特性を持っています。加えて、いくつかの脈動変光星や超巨星も含まれており、宇宙の多様性を表す貴重な資料です。

星団と星雲

ほ座には、多様な星団や星雲も存在します。たとえば、

• - NGC 3132: 約4,165光年離れた惑星状星雲で、多くの観測者に人気があります。
• - NGC 3201: 約16,300光年の距離にある球状星団で、恒星の集中度が低いという特性を持っています。
• - ガム星雲: この星雲は、約450光年から1,500光年の範囲に広がる大規模な水素ガスの星雲です。

由来と歴史

ほ座は、古代のアルゴ座に由来しています。古くから存在していたアルゴ座は、プトレマイオスの著作においても名前が記載されており、紀元前1000年ごろにすでに形成されていたとされます。しかし、ほ座が独立した星座として認識されるのは、18世紀後半からであり、その背景にはフランスの天文学者ラカイユによる星表の改定が関与しています。

19世紀の天文学者であるベンジャミン・グールドによって、ほ座は独立した星座として認識され、現在の位置づけが確立されました。また、ほ座の星々は、星の明るさや位置の認識が確立されてから、一層探求が進んでいます。特に、IAUによる現行の星座制定の際、ほ座は正式に88星座のひとつとして承認されました。

日本での呼称

日本では、ほ座は「帆」という訳語が用いられており、明治末期にはこの呼称が確認されています。この用語は、1952年に日本天文学会で定められ、現在も広く使用されています。

このように、ほ座は歴史的に登場した星座でありながら、現代でもその魅力を失うことなく、多くの天体観測者に親しまれています。

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