むつ湾フェリー

むつ湾フェリー株式会社概要

むつ湾フェリー株式会社は、青森県に拠点を置く海運会社で、下北半島と津軽半島を結ぶフェリー航路を運営しています。この会社は、青森県外ヶ浜町および脇野沢村（現在のむつ市）を中心に設立された第3セクターの企業です。最初は弘南バスが主要株主でありましたが、その後青森県と関係する市町村による増資が行われ、時には青森県が筆頭株主となることもありました。現時点では、弘南バスが再び主要株主となっています。

このフェリー航路は青森市からむつ市へ向かう際に非常に便利で、野辺地町を経由するよりも短時間で到達できます。利用者にとって、時間の節約は大きな利点です。

歴史的背景

旧脇野沢村は、江戸時代には日本海交易の重要な寄港地として機能していましたが、1921年に大湊線が開通し、陸上交通が発展するにつれて海上交通は次第に衰退しました。1922年に、陸奥汽船が解散し、歴史の中で海運業者が減少する時代を迎えました。 しかし、第二次世界大戦後の1968年には下北半島国定公園が指定され、観光の発展が進むこととなります。この影響で、脇野沢は再び海の交通の拠点となり、1971年には下北汽船が新たに青森～脇野沢～佐井間の航路を開設しました。この航路は、陸路よりも大幅に所要時間を短縮するもので、旅客に喜ばれました。

むつ湾フェリーはその後、弘南バスや関連市町村と共に設立されることになりますが、利用者が減少する中で経営が苦しくなり、青森～佐井の離島航路は一時廃止の検討を受けました。その後新会社シィラインが設立され、離島航路はそちらに譲渡され、むつ湾フェリーはフェリー航路の運営に専念することとなりました。

沿革

1967年11月 - 関係自治体と個人の出資により「下北汽船株式会社」を設立し、かつて青森～大湊航路を再開。
1979年4月 - 青森県や関係市町村、民間からの出資によって「むつ湾フェリー株式会社」を設立し、蟹田～脇野沢航路を開設。
1987年10月 - 「下北汽船株式会社」と「むつ湾フェリー株式会社」が合併。
2005年10月 - 本社を青森市から外ヶ浜町の蟹田へ移転。
* 2006年 - 青森～佐井航路をシィラインへ譲渡し、同年に「むつ湾フェリー株式会社」として商号を変更。

航路情報

現在の航路は、脇野沢港から蟹田港までの22.6キロメートルを結び、航海時間は約60分です。通常時は2往復を運航し、繁忙期には3往復行います。ただし、冬季の11月上旬から4月下旬までは休航します。

航路上では、カマイルカの姿がよく見かけられます。2007年には青森大学の教授がそのイルカを見て感銘を受け、以後イルカに関する研究を行うようになりました。2016年には、イルカの目撃情報を共有するためのウェブサイト「青森・陸奥湾イルカ情報」を開設し、むつ湾フェリーの乗組員もその情報提供に協力しています。

船舶について

現在運航中の船舶は「かもしか」の2代目で、1998年に就航し、611トンの総トン数を持っています。この船は最大で240名の旅客を運び、また大型バス4台または乗用車20台を載せることが可能です。初代「かもしか」は1967年に竣工し、1980年に就航したもので、348.37トンの容量があり、400名の乗客を収容できます。

むつ湾フェリー株式会社は、青森県内における重要な海運交通を担う会社として、地域に密着したサービスを提供し続けています。

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