ゆずマン

ゆずマン：ゆずの軌跡を彩る、記念すべきミニアルバム

1998年2月21日、セーニャ・アンド・カンパニーより発売された『ゆずマン』は、ゆずにとって2枚目のミニアルバムであり、彼らのキャリアにおいて重要な転換点となる作品です。前作『ゆずの素』が路上ライブ録音中心だったのに対し、『ゆずマン』は初の全編スタジオ録音作品。メジャー流通における初のアルバムリリースという点でも、ゆずの新たな一歩を象徴しています。

楽曲解説：路上からスタジオへ、そして全国へ

アルバム収録楽曲はそれぞれに魅力的なエピソードを秘めています。

ところで: CX系ドラマ『美少女H』の主題歌として書き下ろされた楽曲。岩沢厚治氏の勢いのある作曲で、路上ライブで好評だったことから収録が決定したという逸話も残っています。
春三: タイトルの由来は、ゆずが路上ライブで最初に歌っていた「春一番」のような曲を作り、当初「春二番」と名付けようとしたものの、既に同名の楽曲が存在したため「春三」になったという、ユニークなエピソードが語られています。「はるぞう」と読むとのことです。
遊園地: 独特の雰囲気を持つこの曲は、ベストアルバム『ゆずのね 1997-2007』への収録は見送られましたが、10周年記念ライブツアーで披露されるなど、ファンからの人気が高い楽曲です。イントロには、遊園地で録音されたかのような効果音が使用されています。
なにもない: 映画『ハードル』の主題歌。後にベストアルバムにも収録され、広く知られる代表曲となりました。初期の仮タイトルは「あぁ」だったと言われています。
～風まかせ～: 映画『ハードル』の挿入歌として書き下ろされました。
いこう: 軽快なリズムとメロディーが印象的な楽曲です。
* シュビドゥバー: ライブでは定番曲として演奏され、特に初期のライブでは最後の曲として頻繁に演奏されました。東京ドーム公演では、サビの一部が生声で歌われるという演出も行われたとのことです。終盤のコーラスには、ゆずの友人たちが参加しています。

参加ミュージシャン：豪華な顔ぶれが楽曲を彩る

『ゆずマン』は、ゆずの2人だけでなく、数々の実力派ミュージシャンが参加した、豪華な布陣で制作されました。プログラミングに中西進氏、ベースに寺岡呼人氏など、多彩な才能が結集し、楽曲に深みと幅を与えています。ドラム、パーカッション、ストリングス、キーボードなど、多様な楽器が使用され、楽曲によって異なるサウンドスケープが表現されています。コーラスにも多くの参加者がクレジットされており、まさにチームワークによって作り上げられた作品と言えるでしょう。

ジャケット写真へのオマージュ

2018年にリリースされた楽曲「公園通り」のアートワークは、『ゆずマン』のジャケット写真をオマージュしていると言われています。このことは、本作がゆずの音楽史において重要な位置を占めていることを示唆しています。

関連作品とその後

『ゆずマン』に収録された楽曲は、その後も多くのベストアルバムやライブアルバムに収録され、現在も聴き継がれています。彼らの初期の代表作として、ゆずの音楽的進化を物語る重要な作品と言えるでしょう。 また、『ゆずマン』は、ミュージックビデオ集『録歌選 金銀』に「なにもない」のミュージックビデオが収録されています。

『ゆずマン』は、路上ライブからスタジオ録音へ、そしてメジャーデビューへと続くゆずの歩みを象徴する作品であり、彼らの音楽的才能と可能性を余すことなく示した、記念碑的なミニアルバムと言えるでしょう。

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