アイヌ民族博物館

アイヌ民族博物館

アイヌ民族博物館は、北海道の白老町に位置する施設で、アイヌ文化に関連する多様な資料を展示・保存し、教育普及事業を展開しています。この博物館は、アイヌ語で「大きい湖の集落」を意味する「ポロトコタン」としても知られ、野外博物館の一部として親しまれてきました。2018年の3月31日をもって一般社団法人アイヌ民族博物館の運営下での活動を終了し、2020年には国立アイヌ民族博物館が開設されました。この新たな施設は「ウポポイ」、すなわち民族共生象徴空間の中心的な役割を果たしています。

博物館の目的と活動

アイヌ民族博物館の主な目的は、アイヌ民族の有形・無形の文化財を展示し、保存することです。この博物館には約5,000点のアイヌ民族関連資料や、250点の北方少数民族資料が収蔵されており、約800点が常設展示されています。また、アイヌの伝統的な絵画や文書、図書も所蔵されており、特に7,500冊の図書はアイヌ文化に関する深い知識を提供しています。

博物館内には当時のアイヌの生活様式を再現するために、チセ（住居）、プ（食品庫）、ヘペレセッ（ヒグマの飼育場所）など、いくつかの復元された家屋が存在します。これらの展示により、訪れる人々はアイヌの生活と文化に親しむことができるのです。

さらに、アイヌ文化の伝承・保存活動として、イオマンテ（熊送りの儀式）などの伝統儀式を実施し、伝統工芸である機織り、キナ（藺草の敷物）作り、民俗衣装の製作なども行っています。これらは体験学習の一環として供され、訪問者は実際に手を動かしながら文化に触れる貴重な機会が提供されています。

歴史的背景

アイヌ民族博物館は、1965年に白老市街地からポロト湖畔に移転し、「白老コタン」として営業を開始。その後、1967年には白老町立の民俗資料館として再開され、1984年に正式にアイヌ民族博物館と名付けられました。この博物館の設立は、アイヌ古式舞踊が国の重要無形民俗文化財に指定されたことを契機にしたものであり、以来アイヌ文化の保存と伝承に努めてきました。

1986年にはフィンランドのサーミ博物館と提携し、国際的な文化交流も進めました。そして、2018年には新たに整備される民族共生象徴空間の影響で閉館。その後の2020年に国立アイヌ民族博物館が開館し、これによりアイヌ文化の振興と研究の新たな拠点が確立されました。

アクセスと利用案内

アイヌ民族博物館へのアクセスは、道南バスの「白老コタン前」バス停から徒歩5分、JR白老駅からも徒歩13分と非常に便利です。また、車で訪れる場合は登別や千歳から道央自動車道を利用できます。

博物館の開館時間は8時45分から17時までで、年末年始を除くほかの期間は一般の訪問者を受け入れています。

このように、アイヌ民族博物館は地域社会における文化教育の重要な拠点となり、アイヌ文化の理解と継承に大きく寄与しています。

もう一度検索