アオサギ

アオサギ（青鷺、蒼鷺）

アオサギ（学名：Ardea cinerea）は、ペリカン目サギ科に属する大型の鳥類です。その名の通り、青みがかった灰色の体色が特徴で、水辺に優雅に佇む姿がよく見られます。

分布

アオサギは、ヨーロッパからアジア、アフリカ大陸にかけて広範囲に分布しています。寒冷地に生息する個体群は、冬になると南へ移動します。日本では、亜種アオサギ（Ardea cinerea jouyi）が、北海道で繁殖するために夏に飛来し、九州以南で越冬するために冬に飛来します。本州や四国では一年を通して生息しています。

形態

全長：88 - 98cm
翼長：オス44 - 48.5cm、メス42.8 - 46.3cm
翼開長：150 - 170cm
体重：オス1,071 - 2,073g、メス1,020 - 1,785g

オスはメスよりもやや大型です。頭部は白色で、額から眼上部、後頭部にかけて黒い筋模様があります。体上面は青灰色で、背には灰色の飾羽があります。下面は白い羽毛で覆われ、胸部の羽毛は伸長して飾羽となります。前頸から胸部にかけては、破線状の黒い縦縞が入ります。翼の周辺には白い斑紋が見られます。

虹彩は黄色、嘴は黄色、後肢は暗褐色です。繁殖期になると、嘴と後肢の色が赤みを帯びます。若鳥は後頭部に冠羽がなく、背が褐色を帯びています。

亜種

アオサギには、以下の亜種が確認されています。

Ardea cinerea cinerea：ヨーロッパ、インド、東アジア、アフリカ
Ardea cinerea firasa：コモロ、マダガスカル、アルダブラ
Ardea cinerea jouyi：中国北部、朝鮮半島、日本、スマトラ島、ジャワ島
Ardea cinerea monicae：モーリタニア

生態

アオサギは、河川、湖沼、湿原、干潟、水田などに生息します。昼行性ですが、繁殖期には夜間にも採食を行うことがあります。非繁殖期には単独で生活しますが、数羽でねぐらに集まったり、他のサギ類と混ざってねぐらを形成することもあります。日光浴をする際には、翼を広げて太陽の光を浴びます。

飛翔中や飛翔直前には、「グァン」「グア」と大きな声で鳴きます。また、「グワーア」「ゴアーッ」といったしわがれた声で鳴くこともあります。

食性は動物食で、魚類、両生類、爬虫類、昆虫などを捕食します。時には、鳥類の雛や小型哺乳類を食べることもあります。水辺で待ち伏せたり、浅瀬を歩き回りながら獲物を探します。小型の魚は嘴で挟んで捕えますが、コイなどの大型の魚は側面から嘴で突き刺して捕えることがあります。アオサギは他の鳥に対して気が強く、トビと獲物を奪い合ったり、コウノトリの餌を横取りすることもあります。

繁殖形態は卵生です。松林などに集団繁殖地（コロニー）を形成します。主にアオサギのみのコロニーを形成しますが、他のサギ類のコロニーに混ざることもあります。オスが巣材を集め、メスが巣を作ります。巣は、ヨシなどの草本の茎や木の枝を組み合わせた皿状で、樹上に作られます。地域によっては、低木や地上に営巣することもあります。一度に3 - 5個の卵を産み、雌雄で抱卵・育雛を行います。抱卵期間は23 - 28日、雛は孵化後50 - 55日で巣立ち、生後2年で成熟します。

人間との関係

アオサギは、養殖魚を食べることから害鳥とみなされることがあります。しかし、その一方で、自然環境の指標となる鳥としても重要視されています。日本では、アオサギの繁殖地が減少傾向にありますが、一部地域では保護活動が行われています。

アオサギは、人間に対して警戒心が強い鳥ですが、観光地などでは人慣れしている個体も見られます。アオサギの保護と共存のためには、生息環境の保全が重要となります。

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