アジキ

アジキの生い立ちと歴史的背景

アジキ（Aǰiqi）は、モンゴル帝国の重要な皇族であり、チャガタイの孫にあたります。彼の父、ブリはルーシ遠征の際、オゴデイ家のグユクと共に総司令官であるバトゥを侮辱したことから両者の間に深い怨恨が生まれました。この事件はブリにとって致命的であり、バトゥの支持でモンケが即位した後、ブリは命を落とします。このような背景から、アジキやその兄弟たちは反モンケ的な傾向を持つようになりました。

帝位継承戦争とアジキの役割

モンケ・カアンが南宋への遠征中に病死した結果、彼の後継者を巡る戦争が勃発しました。この戦争では、クビライとアリク・ブケがそれぞれ帝位を狙うこととなり、アリク・ブケ派はカラコルムを拠点に反抗し、逆にアジキを含むブリの子供たちはクビライ側に立ちました。アジキは、南方の支配勢力と連携しながら、特に河西とビシュバリク地区で重要な役割を果たしました。

兄弟との連携とその後

アジキは兄弟のアビシュカと共にクビライ派として戦いますが、アビシュカがアリク・ブケ派に捕らえられて殺されたため、アジキはその後のクビライ派の指導者として立ち上がりました。彼は河西〜ビシュバリクの総司令官として任命され、既にモンゴル帝国の内部で揺れ動いていたチャガタイ系の王族たちが彼に集まってきます。多くの王族たちはアジキの庇護の下に移り住み、クビライによる大元ウルスの安定にも寄与しました。特に、アジキの後ろには兄弟のチュベイがいて、彼もかなりの力を持つ存在になっていきました。アジキとチュベイが連携し、チャガタイ系の支持層を維持する状態が続きました。

戦争とその結果

カイドゥ・ウルスとの戦闘が続く中、アジキは大元ウルスの西方における指導者として知られるようになります。特に、1290年代にはドゥアによる河西地域の急襲があり、これに対してチュベイは最前線で抵抗しましたが、アジキはこの戦争に間に合わず援軍を送ることができませんでした。この結果、アジキは9回の懲罰を受けることとなります。

晩年と遺産

大徳七年（1303年）から戦略の変化が見られ、アジキに与えられていた河西の監理がチュベイに移ることが確認されています。これにより、アジキの立場は徐々に薄れていきました。最終的に、アジキについての記録は大徳十年（1306年）を最後に途絶え、その年に亡くなったことが推測されています。

子孫の情報

『元史』の記録によれば、アジキには息子が二人いましたが、ペルシア語の『集史』には別の息子についての記載があり、彼の子孫については複数の視点があります。例えば、ナリクを倒そうとした人物も子に持っていたとされています。

このように、アジキはその政治的・軍事的な影響力でモンゴル帝国の歴史に名を残した重要な人物でした。彼の活動は、帝国の構造や勢力図にも大きな影響を及ぼしたのです。

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