アネモネ

アネモネの魅力と栽培法

アネモネ（学名：Anemone coronaria）は、キンポウゲ科のイチリンソウ属に属する多年草で、ヨーロッパ南部から地中海東部が原産です。和名としては、ボタンイチゲ、ハナイチゲ、またはベニバナオキナグサと呼ばれることもあります。アネモネという名前は、ギリシア語の「風」を意味する言葉「Άνεμος（アネモス）」から来ており、古くは神話の中で、美少年アドニスの血によって誕生したという伝説があります。つまり、アネモネは風と血の象徴と言えるでしょう。

アネモネは古くから人々に親しまれており、その伝播には十字軍や巡礼者が大きく影響を与えてきました。そのため、様々な文化や伝説に登場し、愛される花として知られています。

特徴

アネモネは、地中海地方の気候に適応し、特に雨の多い冬に生育します。初夏には地上部が枯れると、球根や塊根の状態で暑く乾燥した夏を越す特性があります。日本においては、気温が下がる秋に芽を出し、春に花を咲かせ、夏前に再び地上部を枯らして休眠します。一般的には、春に美しい花を開花させることが特徴ですが、その花は一重から八重まで様々で、色も桃色、青、赤、白などがあります。また、草丈も多様で、切花用の高性種から矮性種まで存在します。

アネモネの種は、長い毛を持ち、風によって運ばれるため、各地で「風」に由来する名前が付けられています。また、花弁のないアネモネは、萼片がその役割を果たしています。特筆すべきは、2013年にイスラエルで国花としてシクラメンから切り替わったことです。

品種

アネモネ属は温帯から亜寒帯にかけて約100種が分布しています。同じくキンポウゲ科に属するクリスマスローズやラナンキュラス、クレマチスなどと同じ仲間です。アネモネには、アネモネ・ホルテンシス（Anemone hortensis）、アネモネ・パボニナ（A.pavonina）などがあり、これらの交雑によって作られたアネモネ・フルゲンス（A.×fulgens）が存在します。さらにフルゲンスの交雑選抜種がアネモネ・コロナリア（A.coronaria）となり、園芸的には一般的にコロナリアがアネモネと呼ばれています。

栽培方法

アネモネは、球根を使った栽培が推奨されており、その方法が最も簡単です。球根は直径約1センチの不定形なもので、尖った方を下に向けて9月末から11月初めに植えます。植え付け時は株間を20センチ程度に保ち、鉢を使用する場合は、6寸鉢に3球を植えるとよいでしょう。覆土は2センチ程度で構いません。日当たりが良く、水はけの良い場所では、アネモネは豊かに花を咲かせます。多肥を避け、適切に管理をすれば、何年も花を楽しむことができます。

毒性

アネモネの全草にはプロトアネモニンという成分が含まれています。このため、茎を折った際に出る汁に触れると、皮膚炎や水泡を引き起こすことがあるため、園芸愛好者は取り扱いに注意が必要です。毒性成分を含むため、適切な取り扱いを心掛けることが重要です。

アネモネは、その美しい花と豊かな伝説により、多くの人々に愛され続けています。栽培や取り扱いに気を付けながら、是非その魅力を楽しんでみてください。

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