アラン・ホワイト

アラン・ホワイト：プログレッシブ・ロックの巨星

アラン・ホワイト（Alan White、1949年6月14日 - 2022年5月26日）は、イングランド出身のドラマーであり、プログレッシブ・ロックバンド「イエス」のメンバーとしてその名を知られています。しかし、彼の音楽キャリアはそれだけに留まらず、「ビートルズ」のメンバーのソロ・アルバムや、数々のセッションに参加するなど、多岐にわたる活動を展開しました。ローリング・ストーン誌によって「歴史上最も偉大な100人のドラマー」の第35位に選出され、2017年にはイエスとしてロックの殿堂入りを果たしています。

若き才能の開花

6歳でピアノを始めたアラン・ホワイトでしたが、ドラマーだった叔父の勧めで12歳の誕生日にドラム・キットを贈られます。彼はすぐに才能を開花させ、わずか3ヶ月後には「ザ・ダウンビーツ」というバンドに加入し、ドラマーとしてステージに立ちました。その後、「ザ・ブルー・チップス」と改名してロンドンに進出、レコード会社との契約を結ぶも、成功には至らず解散。

カレッジに進学したホワイトでしたが、校長からミュージシャンとしての収入の方が高いと指摘され、音楽の世界へ戻ることを決意します。

セッション・ドラマーから「イエス」へ

1969年9月、アラン・ホワイトは「プラスティック・オノ・バンド」の一員としてトロント・ロック・アンド・ロール・フェスティバルに出演。当時まだ無名だった彼に、ジョン・レノンから突然電話があり、翌日のフェスティバルへの参加を依頼されたのです。急遽トロントへ向かった彼は、レノン、オノ・ヨーコ、エリック・クラプトンらと出会い、リハーサルを重ねました。このコンサートの音源はライブ・アルバム『平和の祈りをこめて（Live Peace in Toronto 1969）』として発表され、一躍注目を集めるきっかけとなります。その後、レノンのアルバム『イマジン』をはじめ、ジョージ・ハリスン、ジェシ・エド・デイヴィス、ポール・コゾフなどのアルバムに参加しました。

1972年、アラン・ホワイトは「キング・クリムゾン」に加入するために脱退したビル・ブルーフォードの後任として「イエス」に加入。アメリカ・ツアーのわずか1週間前にブルーフォードの脱退を知ったイエスは、当時ジョー・コッカーとのツアー中だったホワイトをロンドンに呼び戻し、加入を説得しました。急ピッチでリハーサルを行い、イエスの複雑な楽曲を習得した彼は、数日後のツアーに臨みました。このツアーからの音源は、ライブ・アルバム『イエスソングス』（1973年）として発表され、イエスでの最初の作品となりました。

アラン・ホワイトのドラム・スタイル

アラン・ホワイトのドラム・スタイルは、ロックン・ロールをルーツとする、パワフルでフラット、そしてタメのあるスローなタイム感が特徴です。イエス加入当初は、ジャズに根ざしたブルーフォードの硬質でタイトなアグレッシブなスタイルとの違いが話題となりました。共同プロデューサーのエディ・オフォードは、イエスにはよりロック色の強いドラマーが必要だと考え、ホワイトを推薦しました。

ソロ活動と晩年

イエスでの活動と並行して、アラン・ホワイトはソロ・アルバムの制作や、他のミュージシャンとの共演も行いました。1976年には初のソロ・アルバム『ラムシャックルド』を発表。2006年には、自身のリーダーバンド「ホワイト」の1stアルバム『White』を発表しました。2007年には、イエス関係者のビリー・シャーウッド、トニー・ケイと「サーカ」を結成し、アルバムとその後のツアーに参加しましたが、2作目のアルバムの録音前に脱退。2017年には、イエス名義でロックの殿堂入りを果たしました。

2022年5月26日、アラン・ホワイトはワシントン州ニューカッスルの自宅で亡くなりました。72歳でした。

音楽作品

ソロ・アルバム

『ラムシャックルド』 - Ramshackled (1976年)

イエス

『イエスソングス』 - Yessongs (1973年) ※ライブ・アルバム
『海洋地形学の物語』 - Tales from Topographic Oceans (1973年)
『リレイヤー』 - Relayer (1974年)
『究極』 - Going for the One (1977年)
『トーマト』 - Tormato (1978年)
『ドラマ』 - Drama (1980年)
『ロンリー・ハート』 - 90125 (1983年)
『ビッグ・ジェネレイター』 - Big Generator (1987年)
『結晶』 - Union (1991年)
『トーク』 - Talk (1994年)
『オープン・ユア・アイズ』 - Open Your Eyes (1997年)
『ラダー』 - The Ladder (1999年)
『マグニフィケイション』 - Magnification (2001年)
『フライ・フロム・ヒア』 - Fly From Here (2011年)
『ヘヴン&アース』 - Heaven & Earth (2014年)

アラン・ホワイトの音楽は、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。

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