アルゴス

アルゴス：ギリシア神話の百目の巨人

アルゴス（古代ギリシア語: Ἄργος, ラテン語: Argus）は、古代ギリシアの神話に登場する特異な存在です。彼は100の目を持ちながら、アゲーノールの子として名を馳せる巨人です。その目は常にどれかが開いているため、彼には死角がありませんでした。この特異な特性は、彼を無敵の見張りとして際立たせています。

アルゴスの特性と役割

アルゴスが持つ100の目は、さまざまな伝承によって異なる表現がされています。彼の目は交代で眠るため、彼は常に目覚めている存在です。また、背部に第三の目があるとの話もあります。この特徴により、彼は神々の命令を受けて数々の怪物たちを退治しました。中でも、エキドナやアルカディア地方を荒らす雄牛を討つことで、多くの手柄を果たしました。

ヘーラーとゼウスの命令

アルゴスの運命は、ゼウスの妃であるヘーラーの指示によって大きく変わります。ゼウスは牝牛に変身したイーオーと恋に落ち、そのイーオーを監視する役目をアルゴスに与えました。これはヘーラーの嫉妬心から出た命令でした。しかし、この見張り役を続ける阿呆に待っていたのは、意外にも悲劇的な結末でした。

ヘルメースがイーオーを取り戻すために派遣され、アルゴスを殺すことになります。ヘルメースは葦笛の音により、アルゴスのすべての目を眠らせたという説が有名です。そこから彼は剣で首を刎ねられるか、または遠くからの石で命を落とします。後には、ヘーラーによって処刑された説もあり、彼の死には様々な解釈があります。

アルゴスの死後

アルゴスが死去した後、彼の目はヘーラーのために特別な意味を持つものとなりました。彼女は彼の目を取り、それを飼っているクジャクの尾羽根に飾ることにしました。このため、クジャクには百の目があるという神話が生まれます。この話は、ヘーラーがアルゴスを偲ぶために行った行為として解釈されてきました。

また、別の説によれば、クジャクはゼウスがヘーラーの怒りを和らげるために送った生物であるとも言われています。このように、クジャクの尾羽根にある百の目は、アルゴスの魂が宿っているとも考えられています。

文化的影響

アルゴスの物語は、古代ギリシャの文学や美術においても大きな影響を与えました。特に、ピーテル・パウル・ルーベンスの絵画『ユノとアルゴス』は有名な作品として知られています。また、旧約聖書に登場するネフィリムや怪物ゴリアテなど、巨人にまつわる伝説とも比べられます。さらに、日本の百目の妖怪との類似性も興味深い点です。

このように、アルゴスはギリシア神話の中で深い意義を持ち、彼の存在は多くの文化的要素に影響を与えています。

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